無気力系幼なじみと甘くて危険な恋愛実験
で、どうなの、これでいいの。
「…別にいーんじゃない」
言葉が通じたとて、返事に手応えがないのは壱あるある。
「いいの?ほんとに?」
結局声に出して聞くと、壱は口元を少しゆるめて、うんうん、と頷く。
「なんでちょっと嬉しそうなの」
「歯磨きしながら悶々としてる仁乃がかわいくて」
口元のゆるみを消して平常の顔に戻った壱に、頑張ってヒマワリの種咀嚼するマウスがかわいくて、みたいなノリで即答されてガクッとしながらも赤面。
「生足最高」
壱がそれだけ言ってリビングに消えるので、私はガクッと赤面のまま、もうやだ着替えようかな、と考えてはみたけどバカらしくなってやめた。
リビングに戻って私はバッグを持ち、壱は持って来ていたらしいカーディガンをさっと羽織り、いざ出発。