笑わない私と狼少年
第1章 気まぐれな狼
「おはよう」
「おはよー」
学校へ向かうのにいつも大和と合流するT字路で
落ち合った。帰りもこのT字路で大和と分かれる。
「早く夏終わんねーかな」
汗を拭いながら気だるそうに大和は言った。
「でも夏がいちばん楽しくない?」
私は四季の中で夏が1番好きだ。海やプール、お祭りに花火や、夏がなにかと楽しい事が1番多い気がするから。
「じゃあお前はあのクソ暑い夏の体育館で汗かいてバスケなんてして見ろ?嫌になるぜ」
「あはは、それは嫌だね」
大和はバスケは好きでも、暑いのは嫌いみたい。
確かに夏場の体育館は蒸し暑くてあの中で運動すると汗だくになる。大和はその中で毎日のように部活でバスケしてるとすごい体力と根性を持ってるんだなあと思う。
そんな話をしながら歩いていると次第に学校に近づくに連れて私たちと同じ制服を着た人達が増えていく。
今日は始業式。昨日で約1ヶ月ちょっとの長いようで短いような夏休みが終わった。それぞれ思い思いの休みを過ごしたであろう。
「大和ちゃんと夏休みの課題は終わらせたの?」
「さすがにな」
私は今まで大和が夏休みの課題を終わらせることができなかった姿を何度も見ている。きっと大和は夏休みの課題はギリギリになってやり込むタイプ。私は逆で、夏休みに入った日から計画的に少しずつ課題を進めるから、いつも夏休み残り半分ってくらいには課題は終わっている。面倒な事はちゃっちゃと先に終わらせたい性。
昇降口につき、私たちは下駄箱から自分の上履きを床に放った。そして一旦しゃがみ、まだそんなに汚れていない革靴を手に取り、下駄箱にしまい、床に放った上履きに足を通す。久々に上履きを履いて、やっと学校面倒だなという気持ちが湧いてきた。
「菜月おはよう!」
「杏おはよ!あれ、杏髪染めたの?」
高倉杏。私が高校生になって初めてできた友達。入学式の時に私が座った椅子の目の前の椅子に座った子だ。それから杏が私に話しかけてくれて仲良くなった。背中の真ん中辺りまで伸びた綺麗な黒髪がすごく彼女に似合っていて羨ましかったけど、その髪は今は綺麗な茶色に染まっていた。
「あ、気づいた?どう?」
「すごく似合ってるよ」
髪を染めたことに私が気づいて聞いたのが嬉しかったのか、自慢げに言ってきた。
「菜月ーまた帰りなー」
「うん」
私と杏が一緒になったのを見て大和はそそくさと先に自分の教室へと行った。大和とは違うクラスだから、いつもこのタイミングで離れる。
私は杏と教室に入ると既にクラスの半分くらいの子達がもう来ていた。その中でも何人かが髪を染めている。高校生くらいの年頃になると、みんな髪を染めたがるものなのだろうか。私も染めようか迷ったけれど、浮くのが嫌でやめておいた。けどまさかこんなにもみんな染めてくるとは思わなかった。
私は自分の席に座り、教科書などを自分の机にしまった。私の席は1番窓側の列の1番後ろ。外の景色が見れるからとても気に入っている。校舎はコの字に立っていて、向かいの校舎と、下には横4面に並んでいるテニスコートが見える。そして木が生い茂った山。春は桜でピンクに、夏は綺麗な緑、秋は紅葉で紅に、冬は葉が枯れるが雪が積もると白に染る。季節によって様々な色を魅せてくれる。
自分の席で荷物の整理をしていると杏が寄ってくる。
「ねぇねぇ見てこれ!」
「遊園地行ったの?いいなあ」
杏がスマホの画面を見せてくる。そこにはまだ黒髪の杏と見た目が爽やかな男の人が満面の笑顔で映っていた。後ろには大きなお城のような建物が建っている。
杏には彼氏がいて中学から付き合って早2年が経つそうだ。きっと2人はずっと一緒なんだろうななんて心のどこかで思っていた。まあ、私は杏の彼氏には会ったことはないけれど。
「菜月は彼氏出来たの?」
「出来るわけないよ。夏休みなんて遊んだ男の子は幼馴染しかいないよ」
「せっかくの高校生だよ、ちゃんと恋愛して楽しまないと〜」
男の話になるといつも自慢げに上から目線でものを行ってくる。でも杏の惚気を聞かされるのは嫌いじゃない。
「おはよ!」
「りーちゃんおはよう」
石川凛子。杏と中学が一緒で2人はとても仲良し。杏と一緒にいる時にりーちゃんがやって来て杏が私に紹介してくれた。
みんなはりんちゃん、とかりんりんって彼女を呼ぶけど私は勝手にりーちゃんって呼んでる。
首の辺りで綺麗に毛先が揃えられたショートヘアで、元気ハツラツ娘って感じ。
学校では私と杏とりーちゃん、この3人でいつも一緒にいる。きっと杏が仲良くしてくれてなかったら、私はクラスで常に独りぼっちでいたと思う。ちゃんと友達が出来て良かったって改めて安心する。
3人で夏休みの思い出を話していると、あっという間に時間が過ぎ、ホームルーム開始のチャイムが鳴った。それと同時にクラスの担任の平山先生が入ってきた。
「はーいみんな座ってー」
眼鏡をかけた見た目も性格もすごく優しい先生。きっと学校一女子人気が高い先生だと勝手に思っている。証拠にクラスみんなが既にそれぞれ自分の席に座っている。2つほどまだ誰も座ってない席がある、その内の1つは私の横だ。始業式なのにお休みかな、なんて思った。
「おはよー」
学校へ向かうのにいつも大和と合流するT字路で
落ち合った。帰りもこのT字路で大和と分かれる。
「早く夏終わんねーかな」
汗を拭いながら気だるそうに大和は言った。
「でも夏がいちばん楽しくない?」
私は四季の中で夏が1番好きだ。海やプール、お祭りに花火や、夏がなにかと楽しい事が1番多い気がするから。
「じゃあお前はあのクソ暑い夏の体育館で汗かいてバスケなんてして見ろ?嫌になるぜ」
「あはは、それは嫌だね」
大和はバスケは好きでも、暑いのは嫌いみたい。
確かに夏場の体育館は蒸し暑くてあの中で運動すると汗だくになる。大和はその中で毎日のように部活でバスケしてるとすごい体力と根性を持ってるんだなあと思う。
そんな話をしながら歩いていると次第に学校に近づくに連れて私たちと同じ制服を着た人達が増えていく。
今日は始業式。昨日で約1ヶ月ちょっとの長いようで短いような夏休みが終わった。それぞれ思い思いの休みを過ごしたであろう。
「大和ちゃんと夏休みの課題は終わらせたの?」
「さすがにな」
私は今まで大和が夏休みの課題を終わらせることができなかった姿を何度も見ている。きっと大和は夏休みの課題はギリギリになってやり込むタイプ。私は逆で、夏休みに入った日から計画的に少しずつ課題を進めるから、いつも夏休み残り半分ってくらいには課題は終わっている。面倒な事はちゃっちゃと先に終わらせたい性。
昇降口につき、私たちは下駄箱から自分の上履きを床に放った。そして一旦しゃがみ、まだそんなに汚れていない革靴を手に取り、下駄箱にしまい、床に放った上履きに足を通す。久々に上履きを履いて、やっと学校面倒だなという気持ちが湧いてきた。
「菜月おはよう!」
「杏おはよ!あれ、杏髪染めたの?」
高倉杏。私が高校生になって初めてできた友達。入学式の時に私が座った椅子の目の前の椅子に座った子だ。それから杏が私に話しかけてくれて仲良くなった。背中の真ん中辺りまで伸びた綺麗な黒髪がすごく彼女に似合っていて羨ましかったけど、その髪は今は綺麗な茶色に染まっていた。
「あ、気づいた?どう?」
「すごく似合ってるよ」
髪を染めたことに私が気づいて聞いたのが嬉しかったのか、自慢げに言ってきた。
「菜月ーまた帰りなー」
「うん」
私と杏が一緒になったのを見て大和はそそくさと先に自分の教室へと行った。大和とは違うクラスだから、いつもこのタイミングで離れる。
私は杏と教室に入ると既にクラスの半分くらいの子達がもう来ていた。その中でも何人かが髪を染めている。高校生くらいの年頃になると、みんな髪を染めたがるものなのだろうか。私も染めようか迷ったけれど、浮くのが嫌でやめておいた。けどまさかこんなにもみんな染めてくるとは思わなかった。
私は自分の席に座り、教科書などを自分の机にしまった。私の席は1番窓側の列の1番後ろ。外の景色が見れるからとても気に入っている。校舎はコの字に立っていて、向かいの校舎と、下には横4面に並んでいるテニスコートが見える。そして木が生い茂った山。春は桜でピンクに、夏は綺麗な緑、秋は紅葉で紅に、冬は葉が枯れるが雪が積もると白に染る。季節によって様々な色を魅せてくれる。
自分の席で荷物の整理をしていると杏が寄ってくる。
「ねぇねぇ見てこれ!」
「遊園地行ったの?いいなあ」
杏がスマホの画面を見せてくる。そこにはまだ黒髪の杏と見た目が爽やかな男の人が満面の笑顔で映っていた。後ろには大きなお城のような建物が建っている。
杏には彼氏がいて中学から付き合って早2年が経つそうだ。きっと2人はずっと一緒なんだろうななんて心のどこかで思っていた。まあ、私は杏の彼氏には会ったことはないけれど。
「菜月は彼氏出来たの?」
「出来るわけないよ。夏休みなんて遊んだ男の子は幼馴染しかいないよ」
「せっかくの高校生だよ、ちゃんと恋愛して楽しまないと〜」
男の話になるといつも自慢げに上から目線でものを行ってくる。でも杏の惚気を聞かされるのは嫌いじゃない。
「おはよ!」
「りーちゃんおはよう」
石川凛子。杏と中学が一緒で2人はとても仲良し。杏と一緒にいる時にりーちゃんがやって来て杏が私に紹介してくれた。
みんなはりんちゃん、とかりんりんって彼女を呼ぶけど私は勝手にりーちゃんって呼んでる。
首の辺りで綺麗に毛先が揃えられたショートヘアで、元気ハツラツ娘って感じ。
学校では私と杏とりーちゃん、この3人でいつも一緒にいる。きっと杏が仲良くしてくれてなかったら、私はクラスで常に独りぼっちでいたと思う。ちゃんと友達が出来て良かったって改めて安心する。
3人で夏休みの思い出を話していると、あっという間に時間が過ぎ、ホームルーム開始のチャイムが鳴った。それと同時にクラスの担任の平山先生が入ってきた。
「はーいみんな座ってー」
眼鏡をかけた見た目も性格もすごく優しい先生。きっと学校一女子人気が高い先生だと勝手に思っている。証拠にクラスみんなが既にそれぞれ自分の席に座っている。2つほどまだ誰も座ってない席がある、その内の1つは私の横だ。始業式なのにお休みかな、なんて思った。