金蓮者(きんれんじゃ)
「ただ、1つだけ条件がある」
 那智夫が、さらにきりだした。
「条件?」
 みさきは首をかしげる。
「作詞は、みさきに任せたいと思う。だけど、歌詞の内容に1つ条件をつけたい」
 みさきは、目をまん丸く見開き、
「作詞!? そんな急にかけないよ」
「大丈夫。みさきは信心があるだろ」
「うん、ある」
「金連教の教義に、そったものをいくらか書いてもらいたい」
「教義?」
「教義というと大げさかな? 日常生活の中で金連教の信者なら感じるであろう体感。それを歌詞にして欲しいんだ」
「ちょっと考えさせて」
 みさきは、率直に答えた。
「いい、すぐに答えはいらない。金連教の教義が街にあふれる。みさきとオレの天下だ」
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