これを愛というのなら
1週間の休みは、親父の見舞いに病院に行ったり。

久しぶりに二人で買い物に行ったり。

髪をお互いに切りに行ったり。

ずっと二人で行ってみたいと話していた中華料理を食べに行ったり。


俺らなりに満喫して。

休みの最終日には、親父も無事に退院して。



夕方の茜色の夕焼けに染まったベランダーーー。


「梓……本当はもっと気の利いた場所でって考えたんだけど…俺たちが一番落ち着ける場所でと思って…」


なに?とキョトンとしている梓に、


結婚しよう。


案の定、梓の瞳には涙が浮かんでいた。

ポロポロと止まることなく、溢れてくる涙。


「…返事は?」


はい……喜んで。


指輪をズボンのポケットから出して跪いて、梓の薬指に指輪を嵌めて。

その手にキスをすると、また涙が溢れ出す。


立ち上がって、泣き虫、と涙を拭くと。


「……愛してる……言葉じゃ足りないくらい……簡単に口に出すのを……躊躇うくらい……」


「俺も……梓と同じくらい……愛してる」




雨上がりの夕焼け空に照らされる中。

いつもの戯れのような、キスを繰り返す。



ずっと一緒に歩いて行こう。

繋いだ手を離さずに。
< 127 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop