これを愛というのなら
谷口くんの誘いもなくなって、

鈴木も、一通り任せられるようになって。

夏の陽射しが容赦なく、肌を射す頃。


そろそろ、棲む所を探した方がいいんじゃない?


昨日、利香とチーフが飲みに来ていて、二人に言われたんだよね。


繁忙期に入ったら、ゆっくり探せないよ。

そうだな、繁忙期終わったらあっという間に年末だぞ。


それもそうだな、と昨日は二人で納得して。

蓮の実家の近くで、物件を探すことにした。

今からでも、良い所が見つかれば借りておいてもいい。

少しずつ引っ越しも出来るし。

職業柄、休みも殆んどなくて基本的に、お金は貯まる一方の私たち。

だから、今から借りてもとかの心配はなくて。

むしろ、お互いの貯金額を見て驚いたくらい。



不動産屋さんで、見つけた私たちが理想としている一軒家が、蓮の実家から徒歩圏内で。


見学できますか?



それは、庭付きでウッドデッキのテラス付き。

平屋の3LDK。

見学してみると、モデルルームとして使用していたらしく。

ものすごく綺麗で、大きな窓からキッチンやリビングに差し込む光は格別。

収納もしっかりあって、

ここなら将来、子供が出来ても住めるよね。


蓮と顔を見合わせて、ここにします!


そして、翌週の土曜日。

婚礼件数が一件だったのもあって、休みを取って私の両親に挨拶に行った。


意外と早かったのもあって、両親は驚いていて。

たまたま居合わせた、弟も。

結婚を認めてくれた。


「姉ちゃんを泣かせたら許しませんよ。必ず幸せにして下さい!」


弟も大人になったんだね。

シスコンで、いつも私の後ろを付いてきて。

社会人になってからも、お父さんと喧嘩する度に、家へやって来て。

仲裁するのは、いつも私で。


帰りに、そういう話を蓮にすると。


「弟って、そんなもんだろ。俺もいつも姉貴の後ろを付いて回ってた」


いつの間にか大人になって寂しくなる。

蓮のお姉さんも、そういえば同じ事を言ってたな。

蓮をよろしくね。

私もいつかは、そう言える相手を弟が連れて来るんだろうな。
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