これを愛というのなら
“Daining Kitchen はせがわ”が、蓮と私の新たな場所になって、半年ーー。
パティシエだったお姉さんは独身で隣の住居に引っ越して来ていて、スイーツ作りは苦手な蓮の代わりに、
新たに設けられたショーケースに並ぶスイーツも作ってくれていて。
ランチの時間だけ3人で、お店を切り盛りしている。
「ありがとうございました!」
最後のお客様を、お見送りして今日も1日が終わる。
後片付けをして、店を閉めて家に帰る頃には、いつも10時半を回っている。
疲れたなぁ、と身体をソファーに蓮と投げ出しても。
その疲れは、幸せに満ちた疲れ。
毎日がものすごく充実していて、幸せだと実感させられる。
常連さんは、蓮を小さい時から知っている、商店街の人達だったり。
小中の同級生さん達が、家族で来てくれたり。
ひとりでも、フラッと来てくれたりしている。
蓮のやんちゃだった話を聞かせてくれた事もある。
「そんなにモテたんだ」
「そうそう。先輩、後輩の女子も同級生からも。けど、こいつはいつも素っ気なかったんだよ」
「なんで?取っ替え引っ替え出来るのに」
冗談ぽく、キッチンに立つ蓮に話を振ってみると。
眉を寄せて、興味がなかった、と。
「そうそう。見た目が上等なくせに、全く興味がなくて、部活ばっかりだったんだよ」
「じゃあ、根っからの剣道少年だったんだ!」
「まさに、それっ!しかも県No.1だったから、他校の女子もほっとかなかったな」
見たかたったなぁ、剣道してる蓮を。
きっとカッコよったんだろうな。
私も剣道していたから、よくわかる。
背が高いと脇の守りが甘くなって、懐に踏み込まれ安いから、不利だってこと。
だから、中学生の時から背が高かった蓮は相当、打ち込んでいたはず。
団体戦では、大将として負けたことがないらしい。
「もういいだろ?昔の話は。それより、お前は暇なのか?さっさと仕事に戻れよ!」
小中の幼なじみの松田くんは、この店もある商店街の八百屋を継いでいて。
うちに野菜を配達してくれていて。
最初は敬語だった私に、普通に話してよ、と言ってくれて、敬語を外して話すようになった。
配達に来る度に、コーヒーを飲みながらカウンターテーブルに座って、ゆっくりしている。
「はいはい、わかったよ!今日もコーヒーご馳走さま!じゃあね、梓ちゃん!」
私の頭を2回、ポンポンとしてドアを開ける、松田くんに。
梓に気安く触るな!と蓮が叫んでも、手をヒラヒラ振って、聞こえてないふりをして出て行くのもいつものこと。
そして、、、
「毎回毎回、アイツは……」
蓮が舌打ちしながら言って、松田くん専用になったマグカップを持って、厨房に入ると。
消毒、と頭をポンポンして髪にキスをするのも、いつものこと。
これも、私が充実していて。
幸せだと感じる満ち足りた毎日の当たり前の光景。
パティシエだったお姉さんは独身で隣の住居に引っ越して来ていて、スイーツ作りは苦手な蓮の代わりに、
新たに設けられたショーケースに並ぶスイーツも作ってくれていて。
ランチの時間だけ3人で、お店を切り盛りしている。
「ありがとうございました!」
最後のお客様を、お見送りして今日も1日が終わる。
後片付けをして、店を閉めて家に帰る頃には、いつも10時半を回っている。
疲れたなぁ、と身体をソファーに蓮と投げ出しても。
その疲れは、幸せに満ちた疲れ。
毎日がものすごく充実していて、幸せだと実感させられる。
常連さんは、蓮を小さい時から知っている、商店街の人達だったり。
小中の同級生さん達が、家族で来てくれたり。
ひとりでも、フラッと来てくれたりしている。
蓮のやんちゃだった話を聞かせてくれた事もある。
「そんなにモテたんだ」
「そうそう。先輩、後輩の女子も同級生からも。けど、こいつはいつも素っ気なかったんだよ」
「なんで?取っ替え引っ替え出来るのに」
冗談ぽく、キッチンに立つ蓮に話を振ってみると。
眉を寄せて、興味がなかった、と。
「そうそう。見た目が上等なくせに、全く興味がなくて、部活ばっかりだったんだよ」
「じゃあ、根っからの剣道少年だったんだ!」
「まさに、それっ!しかも県No.1だったから、他校の女子もほっとかなかったな」
見たかたったなぁ、剣道してる蓮を。
きっとカッコよったんだろうな。
私も剣道していたから、よくわかる。
背が高いと脇の守りが甘くなって、懐に踏み込まれ安いから、不利だってこと。
だから、中学生の時から背が高かった蓮は相当、打ち込んでいたはず。
団体戦では、大将として負けたことがないらしい。
「もういいだろ?昔の話は。それより、お前は暇なのか?さっさと仕事に戻れよ!」
小中の幼なじみの松田くんは、この店もある商店街の八百屋を継いでいて。
うちに野菜を配達してくれていて。
最初は敬語だった私に、普通に話してよ、と言ってくれて、敬語を外して話すようになった。
配達に来る度に、コーヒーを飲みながらカウンターテーブルに座って、ゆっくりしている。
「はいはい、わかったよ!今日もコーヒーご馳走さま!じゃあね、梓ちゃん!」
私の頭を2回、ポンポンとしてドアを開ける、松田くんに。
梓に気安く触るな!と蓮が叫んでも、手をヒラヒラ振って、聞こえてないふりをして出て行くのもいつものこと。
そして、、、
「毎回毎回、アイツは……」
蓮が舌打ちしながら言って、松田くん専用になったマグカップを持って、厨房に入ると。
消毒、と頭をポンポンして髪にキスをするのも、いつものこと。
これも、私が充実していて。
幸せだと感じる満ち足りた毎日の当たり前の光景。