これを愛というのなら
「それはさておき、今日はお前の誕生日だろ?おめでとう」


「おう!ありがとう。それよりデートは上手く言ったのか?」


「バッチリだよ。可愛いくてな……」


松田くんが瞳をキラキラさせて、話を始める。


とにかく気も合うし、楽しくて。

次の約束もしたらしい。


松田くんは、可愛いらしい顔の童顔のイケメンで。

無邪気で真っ直ぐ。


あいつは面倒見が良すぎるから、いい人で終るタイプって蓮が言ってた。

何かわかる気がする。


「次は、どこに行くか決まってるの?」


「まだなんだよ。梓ちゃんはデートで行きたい所ってどこ?」


「う~ん……好きなジャンルが一緒なら映画かな。今だったら、遊園地でも楽しいかも。夏限定のイベントしてたりするでしょ?」


「そうだな……蓮は梓ちゃんとデートって何処に行ってたんだ?」


改めて問われると、私たちってデートらしいデートなんて数少ないかも。

蓮も、顎を触る癖が出てる。

きっと同じ事を思ってるよね。


「……映画はお互いに観たいのが合えば行ったな。あとは、桜を見に行ったり…梓も俺も好きなアーティストのライヴに行ったとか…ショッピングとか…そんなもんだな。デートらしいデートは」


「そうか……二人とも付き合ってた時も休みなんてなかったもんな。俺も似たようなもんだけど…」


「裕司、デートなんてな。相手と行きたいとか、見たいとか、感じたいって思えれば何処に行っても何をしても、デートなんだよ。あれこれ考えて決めるより、まずは相手に聞くことだな」


さすがだな、と笑う松田くんに、普通だろ、と返す蓮だけど。


恋愛経験が少ないであろう松田くんからすれば、普通じゃないんだよ。




「まぁ…わかったってことで、今日は帰るわ。さっきの続きでも何でもしてくれ!」


にんまり笑って、ソファーから立ち上がり。

玄関に向かう松田くんに、

もう邪魔しに来るなよ、と言いながら後ろから追う蓮に着いていく。


邪魔したな、コーヒーごちそう様。


手をヒラヒラ振って、嵐のように帰って行った。
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