これを愛というのなら
「ねぇ…蓮?」


ソファーに両膝を立てて座っている蓮の肩に凭れて、蓮の顔を見上げる。

ん?と、テレビ画面から私に視線を移してくれた蓮に、、、


「商店街、失くならないよね?」


小野くんと蓮のやり取りを聴いて、不安に思っていた事をぶつけてみる。

蓮なら、きっと失くしたりしないってわかってる。

だけど……不安で堪らなくて、蓮の口から聞きたいと思ったから。


「失くなるわけないだろ。はせがわはな、俺のじいちゃんの代から商店街の中にあるんだけど、松田青果も小野鮮魚も…その前からある」


つまりは、俺らが生まれ育った商店街だ。

そんな大事なもんを……


「絶対に失くさせない…どんな手を使っても、必ずな」


そう、これを聴きたかった。

何もかも上手くいくって思える蓮の力強い言葉。


「うん、無茶はしないでね」


「わかってる。梓は俺を信じて、守られてろ」


頭を撫でてくれた蓮に素直に頷くと、優しい柔らかいキスをくれる。

たったそれだけで、安心する。

大丈夫って思える、蓮の温もり。


蓮なら、守ってくれる。

私も家族も、商店街も、商店街の人たちも。
< 154 / 186 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop