これを愛というのなら
お茶を淹れて。

今は、私を真ん中にして松田くんと小野くんと座っていて、

震える私の手を小野くんと松田くんが、片手ずつ握ってくれている。



「梓ちゃん……iシェアリングってアプリをダウンロードしてない?」


「……してるよ。この件で会社回りをするようになってから私が心配しないようにって……蓮とダウンロードしたの」


「それなら、居場所が探れるかもしれない!梓ちゃんのスマホ弄るよ?」


テーブルの上のスマホを弄り出す小野くんだけど、、、

相手が許可しないと無理なんじゃないの?


「相手が位置情報をONにしていれば出来るんだよ、そのアプリなら」


「すげぇな!今はそんなアプリがあるのか!けどさ、蓮がONにしてなかったら意味ねぇだろ?」


「裕司さ、梓ちゃんを誰よりも大切に想ってる蓮がONにしてないと思うか?」


そうだよな、と私の手を握る力を強くして。

大丈夫だ!と言ってくれる松田くんに、無理に笑顔で答える。


「蓮が今、何処にいるかわかったよ!」


スマホを弄っていた小野くんが、私と松田くんを交互に見て、


“KOBAYASHI”だ!


「えっ……?なんで?」


小野くんは私の手を握ってから、落ち着いて聞いてね、と。


「蓮は今日、行った会社を出てから拉致されて、“KOBAYASHI”の何処かに監禁されてる。俺の推測だけど…間違いないと思う……“KOBAYASHI”に蓮が居るのは妙だ」


身体の震えが激しくなる……

涙が勝手に溢れて、視界が滲んでいく。


ごめん……ごめんね……


「おい!なんで謝るんだよ!」


松田くんが震える私の身体を横から抱き締めてくれる。


「…だって…私……泣いてる……」


「バカ!泣いて当たり前だろ!」


松田くんの腕の力が強まって、小野くんが手を握る力が強くなる。


「あのね……今日の朝……蓮が行く前に……いつもは頭を撫でるだけなのに……キスしたの……それでもう蓮に触れられないような……気がして……でもね……約束したの……」


「だから……泣いちゃったんだね。大丈夫!蓮は約束を守る奴だから。俺たちが助ける!」


「また蓮に触れられる!今だって、俺たちがどんなに梓ちゃんを落ち着かせようとしても……ずっと震えてる。蓮が帰ってきたら抱き締めてもらえな!」


小野くんと松田くんの力強い言葉に、また涙が溢れ出す。

手の甲で、涙を拭って大きく頷くと。

小野くんと松田くんが交互に頭を撫でてくれた。
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