これを愛というのなら
松田くんと小野くんを送り届けて。

帰って直ぐにお風呂を沸かして。

沸くまでの間に、


「Yシャツ脱いで!」


「なんで?」


「痣を確認したい!」


舌打ちをした蓮は、ネクタイを外して襟元に血の付いたYシャツとインナーのTシャツを脱いでくれて。

固い筋肉質な腕には、大きな赤紫色の痣が出来ていている。


痛い?と、触れると。

少しな。


「本当に?けっこう痛そうだよ……」


「これくらい大丈夫だ。それより、もう沸いただろ。入ろうぜ。気持ちわりぃ…」


「入ろうぜって私も?」


「当たり前だろ!俺の身体が心配なんだろ?腕だけじゃなく、あっちこっち蹴られたからな。自分の目で確かめろ」


ーーーーー。

お風呂の椅子に座っている蓮の脇腹にも、背中にも、胸にも太腿にも、膝にも、脛にも赤紫色の痣が出来ていた。

その痣の全てにキスをしていく。


身体と髪を洗いっこして、、、

抵抗しなかったの?

湯船に浸かって、後ろから私を抱き締める蓮に訊くと。


「しなかったんだよ。俺が抵抗すれば友恵ちゃんがやられるかもしれねぇだろ?」


「そうだね……蓮がこっちの策を話さなかったから暴行されるのは…わかるけど何で友恵さんも?」


「俺が変なもんを嗅がされて拉致られて、目を覚ました時に友恵ちゃんが居たんだ。既に、顔はボコボコで縛られてた」


「……リストを渡したのが友恵さんってわかったから?」


「その通りだな」


だけど……何であそこまで酷く出来るの?

理解出来ない、同じ人として。


「逃げようとしたら……あんな状態まで暴行されたらしい」


言葉が出ない。

逃げようとしただけで……狂ってる。

友恵さん、大丈夫かな?


「……裕司なら大丈夫だ」


そうだね、と大きく頷く。

松田くんの真っ直ぐさと優しさなら大丈夫だね。


「梓をアイツらが守ってくれたお陰で、梓に何もなくてよかった…」


「うん!ずっと手を握って、私を真ん中にして守ってくれたよ」


「そうか。裕司は空手の有段者で、大輔は柔道の有段者だからな」


だから……あんなに簡単に気絶させたり、腕を捻り上げれたんだ!


「私も護身術、習おうかな?」


「習わなくていい!梓は俺に守られてればいいんだよ」


はいはい。


はい、が一個多い!


蓮が御腹と脇腹を擽る。


「ちょっ…とやめてよっ!」


「やめてやらない!!」


「……っ……あっ……意地悪!!」


知ってる、とさらに擽る蓮の手を掴んで、、、

せめて……出てからにしてっ……


「……ふーん……誘ってんの?」


「誘ってない!怪我してるんだから今日はダメ!」


「これくらいの怪我で、梓を抱けないほど柔な身体じゃねぇよ」


「痛いんでしょ?」


痛いな、と言った瞬間に、顔だけを蓮に向けた唇が塞がれる。

すぐに、離された唇を自然と見つめてしまうと。


「……帰ったら抱きしめてって言っただろ?」


ダメだ!

肌が触れてしまうと、触れるだけのキスだけで身体は疼いて……もっとキスしたくなるのに……


「抱き締めるの意味が違う!」


「うるせぇ!もう待てない!出るぞ!」


「手当てしてからだからね!」


「大丈夫だ!こんくらい」


「ダメ!ちゃんとするよ!」


わかったよ、と渋々頷いてくれて。


タオルを巻いた状態で髪を早急に乾かされて、、、

手当てしていると、もっと優しくしろよ、とか散々文句を言ってくれた蓮に、

久しぶりに身体を面白いくらいに弄ばれた。

吐息が溢れるような激しいキスをした時、僅かに血の味がした。

口の中、たくさん切れたんだね……



痛みがなくなったら……朝まで離さないから覚悟しとけよ!

蓮もね!


裸のまま抱き締め合って、甘くて長いキスを交わして。



このまま朝まで抱き締めてるから…おやすみ。

おやすみ、蓮。
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