これを愛というのなら
ーー裕司のアパート。


「大丈夫…?痛くない?」


裕司は家に着いてすぐに、目を覚ました友恵の傷の手当てをしていた。


「うん……大丈夫。ありがとう」


腫れた友恵の頬に手を添えて、友恵の切れた唇の端にキスをしてくれた裕司の優しさに、自然と笑顔が溢れた。


重なり合った瞳は相変わらず真っ直ぐで。


「……裕司くん……私…もう帰りたくない……怖い……」


友恵の身体を抱き締めた裕司は、帰らなくていい。

ここで一緒に暮らそう。


「俺が守るから……ずっと。ごめんな、巻き込んで……こんなになるまて…辛かったよな……もう2度と辛い想いさせないから」


抱き締められたまま、頷いてくれた友恵と裕司はキスを交わしていた。




ーーー小野鮮魚横の2階建ての一軒家。


「ただいま。ごめん……心配かけた……お義父さんにも話してくれてありがとう」


シャワーを浴びて、子供たちの穏やかな寝顔を見に行くと、一緒にリビングに降りて来てくれた奈々枝の手を大輔が握っている。


「おかえり。私に出来ることをしただけだよ。それに……信じてたから、無事に帰って来るって」


「うん。これで、後始末が済んだら安泰だから」


「よかった……ありがとう……商店街と家族を守ってくれて」


ありがとうは全部、終わってからだろ?と言うと、そうだね、と笑ってくれた奈々枝にキスをして抱き締めると。

抱き締め返してくれた奈々枝の身体をソファーに、抱き締めたまま倒して、


「奈々枝……俺たちの子、もう一人欲しいんだけど?」


甘く囁かれた奈々枝の顔は赤く染まって、いいよ。


「大輔の子供なら……何人でも欲しい……」


「奈々枝……ありがとう……愛してるよ……」


甘いキスを交わして、二人は甘い夜を過ごしていた。
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