これを愛というのなら
「なぁ、背中に爪立てるの止めてくれよ?」


息も落ちついてきたとき、蓮が言ったことに、

え?と、うつ伏せで頬杖をついてる蓮を見たあとに、

背中の半分まで布団が掛けられている背中に、視線を移すと、

くっきりと引っ掻き傷が着いていた。


「ごめん…無意識に…してる…」


はぁ~っと溜め息をついた蓮は、

まあまあ地味に痛い、と優しい瞳で私を睨んで、

高ぶってくると毎回なんだけど、と。


「…本当に…ごめん…」


蓮の背中の傷にキスを落とすと、


「…もう…さすがに今日は無理だぞ」


と、頬杖をついてた手で背中に触れていた私の手を取って。

自分の身体を仰向けにすると、自分の上に跨がるように促した。


「無理なんじゃないの?」


そう言いながらも、素直に跨がった私の身体を抱き寄せて。


「痛いけど……こんくらいの痛み大したことねぇよ。キスマークを見える所に着けられるより、ましだ」


だから無意識なら仕方ない、と抱き締めたまま、

耳元で、もう一回するか、と囁いた。


慌てて身体を起こした私は、無理だって言った、と言うと。


「たまには…疲れ果てて寝れるくらい…抱かれるのも悪くないだろ?」


なんて…言うから赤くなった顔を隠そうと、


まだ無理、と蓮の横にうつ伏せに寝転がる。


「冗談だよ。ほんとに…もう身体がもたねぇ」


私の背中に、キスをして言った。



「…ほんとに…もう一回って言われた時は…どうしようかと思った…」


仰向けになって、身体を私の方へ向けて頬杖をついている蓮の胸に、顔を埋めると。

私の頭を優しく撫でて、

急に真剣な声色で。


梓、と。


ん?とうつ伏せになって、頬杖を着いて蓮を見ると、

蓮も同じ態勢になって。


「もう二度と言わないからな?」


と、前置きしたあとで、チラッと私を見て。


「…梓は本当に…どうしようもないくらい泣き虫だけど…梓のどんな涙も全部、俺が受け止める。だから…ずっと俺の手を離すな…俺も離さないから」


そう言ってくれて、私の身体を仰向けにさせて。

その上に跨がると、私の手に自分の手を重ねて、指を絡めてくれた。


私の瞳からは、涙が溢れ出して……

その涙を、繋いでない手で拭ってくれる。


そして、、、


たぶん…俺は…もう…どうしようもないくらい、梓に惚れてる、と。


涙を拭ってくれた手を私の頬に添えて、キスをくれた。


また二人の体温が重なっただけで、気持ちいい。

だから、私からキスをして。


「私も…どうしようもないくらい…蓮が好きだよ。ううん……愛してる」


自分を蓮の瞳に映して、伝えると。


それ、反則だろ。と、微笑んだ蓮の唇と私の唇が自然と重なって……


そのキスは深い深い、キスになっていく。


私の頬に添えて合った蓮の手は、私の脇腹辺りを擦っている。


もう無理だと、お互いに思っていたはずなのに……


また、お互いを求め合っていた。
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