これを愛というのなら
「知ってるも何も…俺も絡んでるんだよ…」


えっ?どういうこと?

首を傾げると。


「…ちゃんと話すから、黙って聞いてくれ」


そう言って、指を絡めて強く握った。




俺と陽介が、高校の同級生ってのは知ってるよな?

部活も一緒でアイツ…瑠美は、マネージャーで。

陽介と瑠美は、付き合ってた。

卒業してからも。

俺は料理の専門学校出てからすぐに留学して。

てっきり、まだ陽介と付き合ってると思ってた瑠美と偶然、留学先で再会した。

驚いて、陽介との事を聞いたら。

別れたって言うから、原因を聞いても何にも答えなくて。

ただ、慰めてって言われて。

俺も留学先で、寂しかったんだろうな。

瑠美と自然と付き合うようになった。

そして、一緒に戻ってきた時に。

私はやっぱり陽介が好きって言って、俺は瑠美と別れた。





そう、話してくれた蓮はずっと私の手を離さなかった。


やっと今、あの日の蓮が浮かない顔した謎が解けた。

だから、聞きたくなった。


蓮は、彼女…瑠美さんのこと好きだったの?と。


少しの沈黙。


私にも、恋愛の色んな過去がある。

蓮のことは愛しているけれど、忘れられない人もいる。

だから、好きだったと。

忘れられないって答えでも、何も言えないし。

それは、それで構わない。

30年も生きていれば、そんな人が居てもいいんじゃないって思うから。

今、私だけを見ていてくれているなら。

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