これを愛というのなら
「綺麗でしょ?」


固まったままの蓮に山田さんが、そんな事を言って。


あぁ…はい。と照れながら顔を赤くする蓮に。


「時間ないわ!モデルさんと体型が一緒でスタイルいいし、身長も同じくらいだから、ピッタリのはずよ!早く着替えてきて。髪もセットするから」


と、ブラックで紺と黒のボーダーのベストがセットの、フロックコート、ウィングカラーシャツを渡され、

衝立の中に押し込んだ。



着替えを終えて出て来た蓮は、かなり照れくさそうだけど。

本当によく似合っている。

スタイルいいなって思ってたけれど、山田さんが言うように。

靴もサイズがピッタリで、完璧なモデル体型だよ。


これから、もっと素敵にするわよ!と、

蓮は山田さんに、ドレッサー前の椅子に促されて。

髪をセットされていく。


カッコいい、と思わず呟いてしまった私に。


蓮は、ずっと恥ずかしそうで。

普段は見れない、見せてくれない照れた顔が新鮮。



鏡の前に、山田さんに腕を組むように言われて、立たされて。


後ろから見ている、山田さんが。


「本当に、お似合い!」


なんて、恥ずかしいことを言われて。

鏡越しに二人で、見つめ合って照れてしまう。


準備できたから、利香と介添えさんを呼びに行くと、出て行った山田さん。




二人だけになった時ー。

自然と向かい合っていた私たち。


「綺麗だよ」


蓮が、甘い声で言ってくれて。

顔に熱が帯びる。


「蓮こそ、すごく…カッコいい」


惚れ直した。


「照れるな。こういうの」


手を握ってくれて。

私が見上げると、自然とお互いに額をくっつけて微笑み合っていた。

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