これを愛というのなら
皆さん、おはようございます!

梓から朝に、蓮を説得出来なくてごめん、と。

LINEの返事をもらってから出社した利香です。

A棟は、もう島田さんが仕切ってきれて、完ぺきなので。

今から、控え室に行って。

もう着替え終わっているはずの、二人を見に行って来ます!




控え室のドアを、山田さんが開けてくれた瞬間ーー。


椅子に座っている白無垢姿の梓と、

その横に立っている、五つ紋の黒紋付き羽織袴姿の料理長に、目を奪われてしまう。


カツラに綿帽子、金糸の鶴が描かれている真っ白な白無垢も梓に、よく似合っていて。

スタイルの良い料理長は、昨日よりきっちり目にセットされた髪型で、紋付き袴も着こなしている。

和装でも、お似合いな二人。

もう…溜め息しか出ない。



「梓、今日も綺麗よ。料理長はもう完ぺき!」


頬を赤く染める梓が、ありがとう、と。

照れくさいから…あんまり見るなって、本当に照れくさそうに笑う、料理長。


「もう、今日も絵になるわね」


うっとりと山田さんも、二人を眺めているんだから。




さてっ!そろそろ時間よ!


「今日は、演出にないことしないでよ!わかった?料理長!」


たぶん、しないと思う。


「してしまったら、悪い」


なんて、言うもんだから!


「しないで!昨日、シンデレラみたいな事をできるんですか?って、かなりの確率で聞かれたって、鈴木が言ってたわよ」


それで、何があったのか説明させられたんだから。

鈴木は、キャーって叫んでたけど。

陽介さんは溜め息を吐いて、バカか…あいつは。って呆れてた。




「保証は出来ないぞ。勝手に身体が動いてるからな」


ということは…自覚はあるのね。

だったら、余計に厄介じゃない。


はいはい、わかりました!気をつけてください!


としか、もう言うことがないわ。
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