これを愛というのなら
chapter:13
「今日は簡単にだけど作るか!」


家に帰ってから、パーカーを腕捲りした蓮が言ってくれて。

それを食べて、お風呂に入って。

ベッドに横になったときーー。


「陽介に、年末に遊びに来た時といい、そんなにくっついて飽きないのか?って、今日言われた」


それ、私も利香に言われた。と言うと。


「梓は、飽きねぇの?」


今も、蓮に腕枕をされてくっついてるんだけど。

毎日、こうやってくっついてるんだから、聞かなくてもわかってるはずなのに。

たぶん、わざと聞いてる。


「飽きないよ。蓮となら」


ふーん、と。

俺も飽きない、と髪にキスをくれた蓮は。


「俺とならって、苦手だったのか?」


なんて聞いてくるから、そういう事も気にするタイプなんだって、ちょっと驚きつつ。


苦手だったよ。


「そうか。俺も苦手だったけど、梓とはずっとくっついてたいと思う。だから、自分でも不思議なんだけど…梓が過去にどんな奴と付き合ってたのか、とか気になる時があるんだよな」


えっ?それまた……意外!

でも、私も瑠美さんの事を聞いてるわけだし。

島田さんの時は、嫉妬したし。

蓮もそれくらい、好きって思ってくれてるんだよね。

だから、聞きたい?と蓮を見上げると。


あぁ、聞きたい。


素直に、聞きたいと言ってくれた蓮に。


「決して、笑い話でも明るい話じゃないいけど…最後まで聞いてね?」


そのままの態勢で、蓮にすがり付くようにくっついて。

忘れられないあの人の事を、あの日以来、はじめて話すことを決めた。
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