愛を語るには、一生かけても足りなくて。
「今日はプレゼントの品をお探しですか?」
とりあえず、いつも通りに。
心の中で自分に言い聞かせた私は、営業スマイルを顔に貼り付け男性客の答えを待った。
そうすれば、再びゆっくりと彼の目がこちらを向く。
え……?
気のせいだろうか。
その目がほんの少し、涙で潤んでいるような気がした。
泣いてる? って、そんなはずないよね。
そうして男性客は私の疑問を払拭するように数回瞬きをしたあと、長い脚を動かし、私のそばまで歩いてきた。
「あ、あの……」
「……はい。大切な人へのプレゼントの品を買いに来ました」
発せられたのは、ほんの少し掠れた甘く低い低音で、耳に心地の良い声だった。
不覚にも心臓がドキンと跳ねて、呆然と彼の顔を見つめてしまう。
改めて見ると、茶色がかったビー玉のように綺麗な瞳を持つ男の人だ。
私は彼とよく似た瞳を持つ人を──たったひとりだけ、知っている。