異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!

プロローグ

高宮静花、二十七歳。
世間様で言う、ブラック企業で営業事務として働くOL。
休日出勤当たり前、残業二時間が通常の日々を送って早四年と少し。

とうとう、無理が祟った私。
一人暮らしのアパートで倒れてそのまま、帰らぬ人となりました。

そんな記憶を持って、私はなんと異世界転生しました。
前世でぬいぐるみ作りの趣味の次に、読書が趣味だった私。
よく、異世界転生のファンタジーも読んだものだけれど。

まさか、自分が異世界転生するとは思っていなかった。
しかも、魔法や妖精に精霊もいるファンタジーな世界。
そんな世界の貴族の家に、末娘として産まれた私は、シーナと名付けられた。

四歳で高熱を出して寝込んだ時。
前世の静花の記憶を思い出した私。
小さな子どもが熱を出しても、元気になっても、この世界の両親は私の元には来てくれなかった。
私の世話をしてくれるのは、侍女頭のリーネだけ。

私の周りには、全然人が居なかった。
窓から見る外では、天気のいい日に私より大きい子どもが三人いた。

見かけた子どもを、指さしてリーネに聞けば、お兄様とお姉様だという。
しかし、そんな兄弟にも私は会ったことがなかった。


なぜ、親や兄弟に会えないのか。
それが分かったのは、痛い思いをして泣いてしまった時。

魔法のあるこの世界では、魔力は誰でも持っている。
しかし、子どものうちから大きな魔力を持っていると、それを制御しきれず溢れさせて、周囲に被害を出してしまう。

そう、私は産まれてすぐから魔力の多い子どもだった。

ゆえに、高魔力保持者であるリーネ以外に面倒を見れる人が居なかったのである。

そう、両親も貴族なので魔力はある。
しかし、魔術師や魔女になるほどの力はなく、生活に不便しないくらいのものだった。

リーネは、魔女の家系の傍流出身で、自身も魔女として生きれるほどの魔力持ち。

だから、私の世話もできる。

しかし、私の魔力過多が原因で、産んで直ぐに母親は寝込んだのだという。

以来、私は生まれながら親に会わない日々を送っていたのだった。