異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!

「ありがとうございます、これからよろしくお願いします」

ペコッと頭を下げる私に、周囲の大人は苦笑しつつ頷いて答えてくれたのだった。

「さぁ、新しい名前を考えないとね。妻をここに呼んでもいいかな？」

その問いに、頷くとリーンと高い鈴の音が鳴る。

その後、パタパタとした足音がしてノックの後に返事よりも先に、部屋のドアが開く。

「クランツ、いきなり呼び出すなんて、なにごと!?」

飛び込んできたのは金髪が眩しい、背の高い女性。
瞳は深い青で、髪とのコントラストがハッキリしている。
よくよく見ると、きりっとした表情で、強そうだ。
思うのは、女性の美しい見た目に反して、片手に大きな剣を持って登場したからだ。

「あら、リーネ様に魔女様までこちらにおいででしたか」

そして、剣を背負うと私を見つけた女性は、ふるふると震えだした。
え？　調子でも悪い？　と様子を伺っていると、その女性はサッと近づいたかと思うと私は気づけば抱き上げられていた。

「クランツ!!　この可愛い子は、どこから来たのかな？　お名前は、なぁに？」

おう……
一気にお顔の表情筋が崩壊しているけれど、美しいよ。

「マーガレット。この子を家で養女に迎えて、大おばあ様の後継として育てたいと思うんだ。どうだろう？」

その言葉に、マーガレットと呼ばれた女性は、崩壊した表情筋に輝かしい笑顔を浮かべて私を高い高いし始めた。

「ひゃっほー！　嬉しい！　念願の、娘!!」

少し、語彙力も崩壊気味だけれど、受け入れてくれているらしい。

「この子、この高魔力のせいでウォレント侯爵家は届も出さずに、捨てたらしい」

辺境伯様の言葉にマーガレットさんは、ピキという音と共に青筋を浮かべて、般若になってしまいました。
綺麗なご尊顔が、般若になるのは結構怖いです。
ドキッと驚いて固まってしまった私に、マーガレットさんは慌てて私を見つめて微笑みます。

「あなたのせいじゃないのよ。もう、これからは安心できるからね。大おばあ様と私たちがいれば、誰にも手出しはさせないから」