異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!
魔女としての生活について

お兄ちゃんたちを見送った次の日、薬師の魔女ルーチェさんの元へと向かって魔女とはなんたるかを聞くことにしていたのだが。

森のお家を開けたらびっくり、そこは煙で溢れていてすごいにおいがした。

「ルーチェさん⁉ 大丈夫?」

もの凄いお家の中の様子に、入って早々に声を上げるとルーチェさんが煙の向こうから姿を現した。

「おや、今日はシーナが来る日だったね。うっかりしていたわ。ちょっと、そこに掛けてお待ち」

椅子を指し示されて、私はその椅子に座る。

座った私を確認すると、ルーチェさんが呟いたと思ったら室内に風が巻き起こり、吹く勢いで窓の外に煙と共に去ってしまった。

「今のが魔法?」

その光景を目にして尋ねれば、ルーチェさんはニコッと微笑んで言った。

「そう。これは魔法。でも、自分の魔力ではなくって近くにいる精霊の力を借りただけ」

そんな魔法があったのか!
驚きはそのまま表情に出ていたのだろう。
ルーチェさんは私の元に一冊の本を持ってきて、そうして見せてくれた。

「魔女というのはね、森に住む、動物や妖精、精霊と一緒に生きていく。森の管理人で、調整役なんだよ。実はなにもしなくても、ただ森にいるだけで本来はその役割は果たせているんだ」

驚きの新事実である。
いるだけで役割が果たせているって、どういうことなんだろう?

「魔女は、森に住む循環器みたいなものでね。森を正常に保つためには、大きな魔力を持った人間が必要だったってことさ」

そして、ルーチェさんはとびっきりいい笑顔で言った。

「だからね、貴方が後継だとしても薬師を継ぐ必要はない。この森で過ごしてくれるだけで、本来は問題ないからね。魔法の使い方とかは教えるけれど、なにをするかはシーナの自由だよ」

なんと、すてきな条件でしょう!!
これは異世界転生、森でスローライフが叶いそう。

「ちなみに、動物とは仲良くなれたりするの?」

うん、出来ればモフモフの動物さんと仲良くなりたい。
前世、忙しすぎてペットを飼いたくても飼えなかった。
ここでは仲良くできたらいいんだけれど……。

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