異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!
やっぱりフラグは回収されるためにあるのか?!
二匹のぬいぐるみを連れて日々を送る私。
すっかり私と飛びながらついてくるぬいぐるみの光景は、辺境伯邸では当たり前になっていた。
しかも、話も出来るのでお屋敷のメイドさんたちから二人は度々お菓子を貰っていたりする。
ちゃっかり食べているところを目撃した時は、私は驚いて停止してしまった。
だって、中身は綿のはずなんだ。
食べたものはどこに消えるの問題である。
「ねぇ、クロちゃんユキちゃん。食べたものはどうなってるの!?」
思わず突っ込んでも許されると思う。
それほど結構な衝撃映像でした。
「あぁ、これ? 私たちの胃袋はブラックホールだから」
ニヤリと笑って答えるクロちゃんに、ユキちゃんはにこやかに言う。
「大丈夫、なるようになってるから!」
説明がなってないが、これがユキちゃんクオリティ。
私の成長と共に、ユキちゃんも成長してくれたらいいなと淡い期待をしておくことにする。
そんな穏やかだった日々に暗雲が立ち込めたのは意外にも、早かったのだろうか?
私が二つの精霊と契約し、魔法にも慣れ始めたころ。
私の生家である隣の領の森が枯れ始めるという事態が発生したのだ。
そこは炎の魔女の住まう森であり、生き物が多い自然豊かな森だったはずである。
それが枯れ始める。
その意味するところは、森の終わり。
調和者の力が弱くなり、次世代も居ないために森が消えること示唆するものだ。
森があることで得られるものは多く、国からの給付の多さもしかりだし、税の優遇もある。
それが無くなると言うことは、自領の繁栄が失われると言うこと。
貴族としての地位も危ういということに、私の両親はこの事態に遭遇して気づいたのだろう。
そして自分たちが近寄れないほどの魔力持ちだった末の娘が、本当は次代の魔女候補だったのではとようやく思い至った時には、手放し捨てた後だった。
慌てながらも、探すことにしたらしい隣の領から手紙が来たのは私がグランヒールという強い治癒魔法が使えるようになった時だった。