異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!

私は、この日お父様とお母様にルーチェさんのところにお泊りしてきてと言われていた。
すでに辺境伯邸でも自室で一人寝起きする身としては、ルーチェさんの森のお家にお泊りすることも可能だろう。

私がルーチェさんの元に泊まることになった原因は、私の生みの親である侯爵夫妻である。

辺境伯領に戻ったリーネに手紙を送ってきたのだ。

「あのとき、お前に託した末娘を返してほしい。あの子は我が領の森の次代の魔女だと思われる。このままだと、ウォレント領の森は枯れて無くなってしまう」

なんて手紙が送られてきたのである。

私はもうガルムトア家の末娘になったのだ。
そして私の師になってくれたルーチェさんのいる、ガルムトア領の森の次代の魔女だと私は思っている。

前世知識もあるけれど、産まれてからの私への扱いを忘れることなんて出来るはずもない。
だから、私はウォレント侯爵夫妻が親として会いに来ることすら図々しいと思う。
ひとえに、前世の年齢も足したら親よりも年上な思考回路のおかげだろうと思うが……。

まぁ、森が無くなれば税の優遇や給付金が入らなくなるものね。
そのお金で領内の整備でもして。領民へ還元していれば良かったのに、それを自身の財産だとでもいうように家族の贅沢のために使われているのを、私は知っているのだ。

「さぁて。図々しい今世の実親はどうしてくれるのが一番かしらね……」

不穏に呟きつつも動き続けた私の手が完成させたのは三体目のぬいぐるみ、テディベアだった。

そして、期待を裏切らないようにその子もあっという間に動き出しおっとりとした口調でのほほんと挨拶してくれた。

「初めましてなの、次代の魔女様。私は土の精霊だよ。よろしくね、シーナ」

どうやらクロちゃんとユキちゃんの様子を見て、そう一言呟いた。

茶色の毛皮で作った羽根つきのテディベアは、おっとり口調の土の精霊さんでした。

「よろしくね、土の精霊さん。私はシェーナリンデ。シーナって呼んでね。あなたもお名前つけていいのかな？」

私が聞くと、嬉しそうに頷いてくれるので私はその子を抱きしめて言った。

「あなたの名前はサラね」