異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!

そんな私の説明にルーチェさんはにこやかに言う。

「シーナが来てから、ちゃんとご飯を食べるようになって、作業が捗ってるわ。ご飯って大事だったのね」

ルーチェさん、ほんとご飯はしっかり食べてねと思いつつ、和やかにランチタイムを始める。
が、そこはルーチェさんである。
二匹増えたぬいぐるみ精霊さん達には気づくので、やっぱり聞かれる。

「私が調合室にこもっている間に気配が増えたのには気づいたけれど。まさか、土と風も仲間入りするとはね」

その言葉に、私はキョトンとして首を傾げつつ聞く。

「そんなに凄いことなの? クマを作ったらサラが入ったの。そしたらサラが風の子もぬいぐるみが欲しいって言うから急いで作ったの。それがふうちゃんだよ」

そうしてクマのサラと小鳥のふうちゃんを紹介する。

「あなた達、シーナを守るために来たのかしら?」

そんな問いかけにふうちゃんもサラも答える。

「そうよ。私たち精霊は皆、シーナの味方なの。彼女の望まぬ客人は、ここに通したくないわ」


そんなサラやふうちゃんの言葉には、ルーチェさんも同意なようでうなづいている。

「そうね、私の森に入ることを私も許すことは出来ないわ。街道沿いから排除したいのを、なんとか堪えているのよ」

結構不穏な単語を聞いてしまった気がします。

「私達も排除したいわ。あの人たちは、シーナを大事にしなかったのよ。今更、気づいても遅いのよ」

クロちゃんは冷ややかな声でそんなことを言う。
私は、その様子から少し気づいて問いかける。

「クロちゃんとユキちゃんは、ずっと前から私と一緒だった?」

私は確信がある訳では無いが漠然と感じたままに口にしたその言葉に、クロちゃんはそれを認めるような返事をした。

「そうよ。私とユキはシーナが生まれた頃からずっとそばにいたわ。だから、あの人たちは嫌いよ。私は侯爵達を認めないわ」

クロちゃんのきっぱりとした拒絶にユキちゃんも同意しているのか、可愛らしいうさぎ姿で地団駄踏んで言うのだ。

「アイツらは、生まれた後にシーナの顔を見に来ても抱くこともしなかった。あんなのは親じゃないわ」

うん、それはずっと見てきた精霊であるクロちゃんとユキちゃんが正しいと思う。
< 30 / 55 >

この作品をシェア

pagetop