異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!
スローライフのようでいて、学びつつ楽しく過ごす日々はあっという間で。
仲良く兄二人と、森で過ごした夏休みは二週間で終わりを迎えた。
兄二人は王都の騎士学校へと戻ることになったのだ。
なにせ、兄二人の夏休みは残り一週間。
王都までは、馬車なら三日だし、早馬でも二日という長い移動距離なのだ。
ゆっくり行くことを考えればやはり、一週間前には移動を始めねばならない。
「あぁ、もう戻らなきゃいけないんだな。もっとシェーナと色々教えつつ楽しく過ごしたかったのに」
そんなセインお兄様の言葉に、同じような表情でカインお兄様も言う。
「本当に、今回の休暇はあっという間だった。シェーナと森を歩くのは、俺たちにも久々のことで有意義な時間だったよ」
そんなお兄様達の側には、お兄様を気に入った精霊のぬいぐるみたちが離れずについている。
今回の騎士学校への帰還にも、そのままついていくと言って譲らないのだ。
「お前たち、本当に俺たちに着いてきていいのか? 王都はここみたいな豊かで穏やかな森は無いぞ?」
セインお兄様の声掛けに精霊たちは、口々に言う。
「私たちは、森でなくても暮らせるわ。特にシェーナリンデが作ってくれたこの身体は、とっても有能なのよ」
ニコニコと告げる精霊たちに、兄二人はなにも言えなくなったようだ。
精霊が気に入った人物に付き従うのは本能のようなものだから、止まられるものでもない。
本来は身体を持たない、精神体のようなものである。
自由気ままな気質を持つ精霊が、人を気に入るというのがまずすごい事なのだけれど。
ここまで人数が増えてると、あまりそれが貴重であることが感覚的に薄れてしまう。
しかし、本来自由奔放なのが精霊なのでついていくというのを止めることは出来ない。
精霊の加護に近いものだとも思うし、あって困るものでもないから連れて行ってくれても私は問題ない。
ついていく意思をはっきりさせている精霊たちは、お兄様達にしっかりとくっ付いている。