異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!
私はルーチェさんとリーネと準備していた毛糸の山を家族用のサロンに持ち出し、少しずつ編んでいたものの続きに取り掛かる。
前世でも、編み物をしていたので道具も同じだったおかげで迷いなく編むことが出来た。
ただ、身体が小さいので進みは遅いし、すぐに疲れてしまうのもあり完成までは時間がかかる。
しかし、なんとか今日頑張れば、お兄様二人分は完成しているのでお母様の分も完成しそうである。
そんな風に、ゆくっりとした時間を過ごしていると荷物の片付けが終わったらしいお母様とお兄様がサロンにやってきた。
「あら、沢山準備してくれたのね。今年もたくさん作れそうで楽しみだわ」
ガルムトアの領地では冬は農業もできないし、出来ることは限られている。
なので領民はみんな夏に買った羊毛で紡いだ糸で編み物をして作ったものを売り、生計を立ててきたらしい。
なので、この領地では性別問わずみんな編み物が得意なのだ。
入ってきたお母様とお兄様を見ても私は手を止めずに編み続けているので、さすがにセインお兄様に突っ込まれた。
「この領地に来て初めての冬なのに、シェーナってば、すっかりガルムトアの子みたいな状態だな」
確かに、リーネにもルーチェさんにも私くらいの年頃の子はまだここまで編めないとは聞いた。
私の年代の子が作るのはせいぜいコースターとか、頑張ってマフラーとかなんだって。
そんな私が編んでいるのは手袋である。
しかも、飾り編を取り入れて少し凝っているものを編んでいる。
減らし目、増やし目など取り入れる手袋はある程度編み物に慣れていないと作れない。
「えっと、思い出した前世の記憶でも編み物をしていたので」
そんな私の返答に、三人は納得したらしい。
「やっぱり、シェーナは規格外だよね。精霊には愛されてるし、前世の記憶持ちだし」
カインお兄様の言葉に、お母様もセインお兄様も納得している。
「しかも、こんなに細目に紡いだ糸で繊細に綺麗に編んでるわね。これは領地のベテラン勢顔負けの出来だわ」
お母様は私の手元を覗いて、そういって褒めてくれる。