異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!
「それなら、お母様に使っていただいても恥ずかしくないですね」
私の言葉に、お母様はきょとんとした。
「え? これ私用なの?」
そんなお母様にニコニコと私は言った。
「えぇ、お母様用に似合う色に染めた糸で編んだんですよ。いつも優しく見守ってくれるお母様へ、私からのささやかなプレゼントです」
少し照れつつ、言えば私は横からお母様にガバッと抱き着かれた。
「カインもセインもいい子だけど、シーナはもう、もう……。可愛すぎるんですけど!!」
お母様が叫ぶのに、お兄様達はにこやかに微笑んで見守っている。
お母様の暴走は、我が家では結構あること。
日常と化している。
「お兄様達のは、もう完成していますよ」
私は既にできていたカインお兄様の物とセインお兄様の物を一度手を止めて、そばに置いていた籠から取り出した。
実はこの世界にはマフラーやストールは存在するのに、ネックウォーマーやスヌードは無かったのだ。
なので、編んでみました。
だって、基本真っすぐに編んで両端を縫い閉じれば良いのだもの。
簡単で良いよね。
その代わり、編み方には凝りました。
「それは、嬉しいね。どんなものを作ったのか」
そう言いながら、渡したものを取り出してみたお兄様達は少しその形状に戸惑っている。
「これは、どう使うの?」
そんなカインお兄様の問いかけに、私は簡単に答える。
「頭から通して首を温めるんですよ」
カインお兄様もセインお兄様のその説明を聞くと、ずぼっと頭からかぶって首にかける。
「わぁ。これ、マフラーと違って解けなくて便利だね」
セインお兄様は利便性に気づいた模様。
「あぁ。それに目を細かく綺麗に編んでくれたから、とても暖かいよ」
カインお兄様にもお気に召してもらえたようだ。
実は、先にお父様にも編んでプレゼントしていた。
雪が降る前から、寒くても毎日どこかしら領地視察に出ていくお父様にと編んでみたのだ。
そしたら、護衛で一緒に行く辺境騎士団にもこの形は広まったのだ。
今年の冬はスヌードとネックウォーマーが流行りそうである。