異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!
そうしてプレゼントはおおむね好評で、久しぶりの家族団らんは楽しく温かな時間となった。
そして、冬の間は午前中はお勉強と礼儀作法の時間になり、午後はゆっくりと家族で編み物をしつついろんな話をして過ごした。
穏やかに、ゆっくりと深くなっていく雪の中で確実に家族として温かな関係が出来ていく。
この家の心地よさは、増していくばかりでこの家の子になれて良かったと心から思えた。
この領地の森を、ルーチェさんから引き継いだらしっかり守っていこう。
そんな気持ちになりながら、穏やかに過ごしていたが現在、私たち家族の手は休むことなく編み棒を操り続けている。
発端は私が編んだネックウォーマーだ。
お父様が使い、辺境騎士団の皆さんもとても気に入ってくれたようで、彼らも欲しいと思って自分たちで作ったりしたらしい。
しかし、私が作るネックウォーマーは精霊のささやかな祝福付きだったのだ。
つまるところ保温機能が付与されたらしく、普通に編んだものより暖かいのだという。
まさか、そんなことになるなんて思ってもいなかったので私は驚いた。
それじゃあ、辺境騎士団の人数分頼むと言われてしまったがその数五十人以上。
そてもじゃないが幼子の手では精々一日頑張って二つ程度である。
ちょっと遠い目になった私に、クロちゃんとユキちゃんが言った。
「ガルムトア家のみんななら精霊の加護を貰っているから、シーナと同じようにささやかな祝福を付与できるわよ」
まさに、それだ!という言葉だった。
私はお兄様二人に話すとお願いして、現在はお兄様にお母様にリーネも交えて五人で編み始めた。
おかげで二十日以上の日程だったものは今週末には準備できそうでホッとしている。
急ピッチの作業だが、いつも領地のために頑張ってくれてる騎士たちのために心を込めて編んでいるつもりだ。
怪我無く、温かく領地の見回りが出来るようにと思いながらみんなで編み続けて三日でなんとか五十六人分のネックウォーマーが完成したのだった。
騎士団が、とても喜びこの冬手放さない逸品になったとのことだった。
私の元には、美味しいお菓子の数々がお礼として届けられたのだった。