異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!
赤の魔女の来訪
そんな仕事も終えると、その日はお休みにして翌日からはコースターだったり、可愛い飾り物だったり、小物作りを始めた。
すると、やはりこちらには無いものを作り始めてしまったらしい。
編んだものをピンに付けたり、髪飾りにしてみたり、と私が使い始めるとまずは少しづつお屋敷のメイドたちに広がり始めた。
そして、それはどんどん領地内にも広がっていきいつの間にかガルムトアの末姫は流行の最先端という位置づけになってしまったのだった。
私、全然そんな気なかったのにな……。
まぁ、お洒落の幅が広がるのはいいことだし気にしないことにしよう。
いろいろ諦めるのが早いのも、中身大人の特権だと思っておこう……。
こうして、穏やかなようでいろいろふりまいた冬が過ぎ春の兆しが見えたころ、新たな人物がここにやってくることになった。
どうやら、撃退したと思っていた私の生みの親はなんというか一筋縄ではいかなかった模様。
少し日差しが温かくなってきたころ。
ガルムトアの領地に赤の魔女がやってきた。
それはウォレント侯爵家の領地の森の魔女であり、苛烈と言われる火魔法が得意な魔女の来訪。
気づいたルーチェさんから指示がなされて、私はルーチェさんの家の方へ緊急避難となった。
一応、もりのルーチェさんのお家と辺境伯邸の間は毎日雪かきされていたので、移動はスムーズだった。
「まさか、あの赤の魔女がこっちまで来るとわね……」
私を移動させたルーチェさんはため息交じりに呟いた。
「たぶん、シーナを見に来たんだろうけれど。そう簡単に次代に会わせるわけにはいかないわ。帰るまでは、シーナはしばらくここで過ごして頂戴ね」
冬の間は、結構ルーチェさんも交えてサロンでみんなで編み物をしていたのだ。
そんな時にルーチェさんは赤の魔女の気配を察知したのだ。
そして速やかに私と一緒に森の家へと移動した。
その際、お父様に言ったのはこうだ。
「面倒な赤の魔女が来るわ。シーナを見に来るんでしょうけれど。厄介だから、私とシーナは森にいるからね」
そう、面倒はすべて丸投げ方式でお父様にその後の対応が託されたのだった。