異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!

王都に着くと、まずルーチェさんは領地でたくさん作ってきたお薬を売り、さらに冬の間に編んでいたニット製品も売りに出して旅のお金を確保した。

ガルムトアの冬の内職は、やはり王都でも人気があるらしい。
編み方や糸の色にこだわりを持って仕上げている人が多いから。
ガルムトアのニットの達人たちの技は、王都でも評判がいいらしい。

魔女の集会の会場である魔女の塔に行くにはまず、王宮に入らなければならない。


私たちは歩いて必要な物を揃えた後は王宮へと向かった。

初めての王宮に私は少し緊張していたが、ルーチェさんはいつものまま自然体だ。

「大丈夫だよ、シーナ。王宮とはいっても魔女の塔は魔女のための者で、そうそう魔女の関係者以外に会うことは無いから」

そんな話をしつつ、だんだんと近づいてくる大きな城とその城門に私はグッと顔を上げて見つめた先には王宮への通用門。
大きな門の横に、小さな門もありルーチェさんは迷いなくあまり人がいない小さな門の方へと向かった。

そちらの通用門の前に立っていた門番さんは大きな門のところの人より、年上に見えた。
ルーチェさんが近づくと、門番さんは私たちを見て立ち上がり、門を開けて出迎えてくれた。

「お久しぶりにございます、緑の魔女様。今年も集会の季節ですな。青の魔女様と赤の魔女様も到着なさってますよ」

にこやかに出迎えてくれた門番さんにルーチェさんは、同じような穏やかさで答えた。

「久しぶりだね、門番殿。今年は次代を連れてきたから少し出遅れてしまったね。この子が私の次の魔女だよ」

そういって私を門番さんに紹介してくれた。

私はルーチェさんに背中を押されつつ、門番さんにご挨拶した。

「初めまして、シェーナリンデと言います。よろしくお願いします」

貴族令嬢のご挨拶、カーテシーを披露した私に門番さんは目じりを下げて微笑んで出迎えてくれた。

「初めまして、緑の魔女の次代様。 今後は何度かお会いすることもありましょう。健やかなるご成長を楽しみにしておりますね」

そんな門番さんに見送られて、私とルーチェさんは王都の王宮敷地内の魔女の塔を目指して進み始めたのだった。

遠目から見た通り、王宮はとっても広くて魔女の塔までまだまだ時間がかかるのだった。
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