異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!

門番さんとお別れしてから歩くこと三十分。
さすがに歩き続けた幼女な私は疲労感たっぷりになってしまう。

「さすがにシーナは疲れたね。塔に入りさえすれば、ここからはゆっくりできるよ」

そうしてたどり着いたのはシンプルな塔だった。

その奥には、綺麗で大きなお城が見えているので作りの違いが分かりやすい。

中は、広くてきれいな空間になっていたしそこは森と同じ気配がした。

作られた建物の中のはずなのに、私が不思議に思っていると銀の髪に蒼い瞳の綺麗な人がやってきた。

「お久しぶりですね、緑の魔女。 この子があなたの次代ですか?」

私に視線を向けている綺麗な人は、たぶん青の魔女さんだと思われる。

「えぇ、そうよ。久しぶりね、青の魔女」

そんなやり取りの間も私は青の魔女に見つめられたまま。

「あぁ、私たちとはまた違った魔力がありますね。 将来有望そうで、羨ましいです」

にこやかに言った青の魔女さんは私の手を取り、その深い蒼い瞳で私と見つめ合った。

「初めまして次代の私たちの仲間。 お名前を伺ってもいいですか?」

優しい笑みで、まるで日向の泉のような青の魔女さんに私は答えた。

「シェーナリンデです。 よろしくお願いします」

スカートをつまんで、お辞儀をした私を青の魔女さんは優しく見つめ続けた。

そして、私はようやっと彼女をしっかり見つめて私たちとの違いに気づく。

「青の魔女さんは、エルフなんですか?」

そう、彼女の銀髪に隠された耳はとがっていて長かった。

「えぇ、私はエルフで魔女なのですよ。今いる魔女の中では、私が一番新参者です。よろしくね、緑の次代」

温かく優しいやり取りをしている間に、もう一人の魔女がやってきた。

この間、領地にも来た赤の魔女さんである。


「お久しぶりね、緑の魔女。 この子が次代ね」

赤の魔女さんは赤の瞳に金髪の美女。

あの、魔女の皆さん綺麗すぎじゃないかなぁ……。

私が大人になった時に、ここまで美人になれる気がしないのだけれど。

私はルーチェさん以外の初めて会う魔女さんたちのルーチェさんとは違った美しさに、未来を想像してやや凹んだのだった。
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