異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!

なるほど。
それは心臓を怒らせて仕事しないって言われたら、その森は枯れる運命だ。

「今はまだ私が交流している精霊のおかげで、遅らせているけれど。間違いなく、二十年ぐらい後にはウォレントの森は枯れてなくなるわ」

赤の魔女は少し悔しそうにして、そう教えてくれた。

「だから、私は自分の次代を残さないことにしたわ。枯れる森を譲るなんて、魔女にとっての仕事がない森を譲ることなんてできないわ。 あの時は、それもあってあなたがどう考えているか話したかったのよ」

そう赤の魔女さんは話してくれて、魔女の集会と言われる二年に一度の魔女たちの集まりは終始和やかだった。

夕飯は王宮から料理人が派遣されて、魔女の塔の調理場で作られたコース料理がふるまわれて美味しい料理を堪能した。

そして、大きな部屋にドーンと鎮座する大きなベッドでみんなで横になり沢山話しながら夜を過ごした。

そして翌朝は、青の魔女さんとルーチェさんの作ってくれたご飯でみんなで朝食を食べると、各々自分の森へと帰る支度を始めた。

森の管理者で、精霊とやりとりしている魔女はそうそう長く森から離れていられない。

それでも魔女同士で交流することで息抜き兼情報交換になれば、魔女たちにとっても良いだろう。
二代前の王様が考えて建ったこの魔女の塔は、魔女には大切な場所なんだと来たことで実感した。

各々の森の管理は次代を育てている最中でもなければ、精霊がいても人とのかかわりが希薄な環境だ。
同じ境遇の魔女同士、会って話すことはいいリフレッシュになるのだろう。
前の王様は、いい考えでこの場所を作ってくれたのだなと感心したのだった。

魔女の集会などと、大げさに言われているがこれは二年に一度の慰安旅行のようなものだろう。
私が魔女になった時には、今の赤の魔女さんと青の魔女さんと会ってここで過ごすことになるのだろう。

少しだけ、楽しみが出来たと良い思い出をもって、辺境伯領へと私とルーチェさんは再び三日馬車に揺られて帰るのだった。

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