異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!
そんなルーチェさんの言葉に、私は驚いてしまい返事がすぐには出来なかった。
「こんなおばあさんじゃ、嫌かねぇ」
その言葉にハッとして、私は急いで喋ろうと口を開いたので、まず舌を噛みそうになった。
「あた! 私、魔女になれるの? ルーチェさんと、一緒に暮らして良いの?」
そう、私は自分の魔力が大きいことは知っていた。
でも、その魔力が魔女になれるほどかは分からない。
そもそも、教育をしっかり受けれていないので、魔女という存在についてもあやふやだ。
そんな私がルーチェさんと暮らし、この森を引き継いでもいいのだろうか?
私の疑問は顔に出ていたらしく、ルーチェさんは私を優しい笑顔で見つめて言った。
「そもそも、しっかり魔力検定を受けれていば、そのあとで私の元に来たよ。だから、遠慮はいらない。今いる魔女の中では、私が一番長生きで、次世代を必要としているからね」
そして、私の前に来て私の手を握るとルーチェさんは言った。
「シーナ。今日からお前さんは、うちの子だよ」
初めて感じる、優しいぬくもり。
リーネだって優しかったけれど、それでも、やはりどこか違った。
それは耐性があったとしても、持ち合わせた魔力の差からくる恐れだったのだと、ルーチェさんに出会って気づいた。
それでも、彼女には感謝している。
今日まで、私が生きてこれたのはリーネが世話をしてくれたからこそ。
私がこの世界に生まれてから、望んでも得られなかったぬくもりが、今もたらされた。
温かな、そのぬくもりをかみしめて。
私は、ルーチェさんに返事をした。
「よろしくお願いします。ルーチェさん」
ここに血の繋がらない、魔女の家族ができたのである。