異世界転生したから、楽しくスローライフを送りたい!!
薬師の森でスローライフ?!

そうして、私の辺境伯領のルーチェさんのいる魔女の森での生活が始まった。
まず、着いた日は私の部屋をルーチェさんと私とリーネで整えた。

可愛らしいサイズのベッド、椅子に机。
そして、可愛い花柄のカーテンに小さな衣装箪笥。
衣装箪笥には、持ってこれた下着や普段着のワンピースなど数着が入る。
居ない者だったらしい私は、最低限の物しか用意されていなかったのだ。
そして、追い出されるときも特別なにかを持たされることがあるわけもなく、私の荷物はあっという間に片付いた。

「さぁ、まずはお前さんの服をもっと用意しときたいね。子どもは、すぐに大きくなるだろう?」

そんなルーチェさんの言葉に、リーネさんも頷く。

「えぇ、きっとすぐに大きくなりますよ。一緒にまずは、辺境伯様のところに行きましょうか」

ん? 辺境伯様のところ?
えぇ? なんで、そんな偉い人のところへ?

疑問でいっぱいの私に、ルーチェさんとリーネがいう。

「ここの辺境伯はね、リーネの甥っ子なんだよ。リーネは私の弟の孫で辺境伯はひ孫なんだよ。もう、私の親兄弟は、みんな居ないけれど。辺境伯の家系は、私にとって親戚ってことさ」

なんと、ルーチェさんは元は辺境伯家のお嬢様だったらしい。
魔力量が多くて、幼いうちに先代の森の魔女さんに引き取られて、この森の魔女として育ったという。
魔女とは、代々そうして受け継がれていくもので、血筋で決まるものでもないのだという。
そんな先代魔女も、薬師の魔女と呼ばれていたという。
こればっかりは既に二百年以上前の話になるので、ルーチェさんに聞いても昔話である。

ルーチェさんが成人して、数年後にはこの世を去ったという先代魔女の後を継いで、ルーチェさんも素質があったので、そのまま薬師の魔女になったという。

この森は、薬草が豊富で、そこから薬を作る魔女が多かったことから、薬師の森とも呼ばれているんだと教えてくれた。
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