キス・ミー・クイック
赤い唇に薄い赤が消える。


空のグラスをさげると、それを待っていたように石垣さんがマスターにオーダー。


「ソウル・キス。彼女に」


ドライ・ベルモットにスイート・ベルモット。


それからデュボネとオレンジ・ジュース。


シェイクしてカクテルグラスに注がれるオレンジ色。


ソウル・キス――心からのキス。 


なんとも情熱的な名前のカクテル。


グラスが、砂夜さんのコースターにそっと置かれた。




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