キス・ミー・クイック
ビトウィーン・ザ・シーツ
きれいに流れる黒髪と、真っ赤な口紅。


ヒールを響かせて歩く様は、モデルのようだった。


カウンターに案内すると、すでにマスターがコースターを用意して待っていた。


彼女は常連客らしい。


「いらっしゃいませ」


「こんばんわ、マスター。新しく人を雇ったの?」


「ええ、一週間前から」


魅惑的な唇からこぼれる声は、少し高くて。


想像よりずっと彼女に似合っていた。



< 6 / 20 >

この作品をシェア

pagetop