時空とか次元如きが私とレイきゅんの邪魔をしようなど……笑止!!
時空とか次元如きが私とレイきゅんの邪魔をしようなど……笑止!! ファンタジー・SF・冒険
愛してやまない世界があった。
愛してやまないキャラクターがいた。
私は、とある乙女ゲームにはまり込んでいた。剣と魔法の世界。バッドエンドもハッピーエンドも同じぐらいの割合で起こった中々難しかった乙女ゲーム。
私はその『聖女と騎士~愛の力で世界を救え~』にはまり込んでいた。
元々RPGは好きだった私は、そのRPG的なやりこみ要素にも惹かれていた。ヒロインである聖女のステータスをあげなければバッドエンドで、中々恋愛要素までたどり着けなかったりした。……私は乙女ゲームを本来やらない方だったので、正直言って一回目失敗した時にもういいかと思ったのだ。
そもそもこっぱずかしい台詞を言われてもむずがゆいだけで、そこまで心惹かれないものだったから。
だけれども、私がやりこんだのは――大好きなキャラクターがいたからである。
私の紛うことなき推し。もはや愛しているとしか言えない存在。
社会人になっていて、自分のお金を存分に使えるようになっていて良かったと心から思ったのは、思う存分推しのためにお金をつぎ込めたからである。私は自分でもこんなにはまるかってぐらいはまりこみ、グッズを大量に購入していた。
「えへへ……レイきゅん」
そしてレイきゅんなんて呼び方をするぐらいにはデレデレになっていた。
私の推し、レイガーダ・ディロスは剣と魔法の世界では珍しい黒髪を持つ、影のある少年である。幼いころから迫害され、傷つき、そして強大な闇魔法の力を持つ。とても努力家で、褒められることに慣れていなくて、うわあああ可愛いって一人悶えていた。
このレイきゅん、悲しいことに闇落ちエンドや死亡エンドも結構ある攻略対象である。攻略は結構難しい。ちょっと選択肢をミスするとレイきゅんはすぐに闇落ちして敵側に行くのである。
このゲーム、聖女の選択肢次第で世界が滅ぶルートもある。下手したらヒロイン死亡のルートも。でも比較的攻略が簡単な攻略対象もいた。
「はぁああ、レイきゅん、かわわ」
私はレイきゅんの情報やスチルを余すことなく確認するために全てのルートを全制覇した。他の攻略対象のルートに入ったからこそ分かるレイきゅんの新たな一面。ああ、なんて素晴らしき事か。
神様、私をレイきゅんに会わせてくれてありがとうございます。あの日あの時このゲームに興味を持つことがなければ私はレイきゅんに出会うことが出来なかったのです!! と私は最近いつも神様に感謝していた。
さて、何故そんな過去形なのかといえば、私はトラックにはねられて異世界に転生を果たしたのである。
現在赤ちゃん。
トラックに轢かれて異世界転生とか、テンプレかよと思いながら赤ちゃん生活を満喫している。いや、RPGは大好きだよ。大好きなんだよ!! 剣と魔法とかワクワクするよ。レイきゅんに出会う前だったら私は喜んでこの世界を満喫したとも!!
でもね、レイきゅんがいないの!!
前世ではゲームを開けばいつでも見れた麗しい愛しいレイきゅんの姿が見えないの!! なんで私の秘蔵コレクションだったレイきゅん抱き枕とか、クリアファイルとかがここにはないの? レイきゅんの姿を見ることが出来ないなんて神は死んだ……!! と私は絶望していた。
「おぎゃあああああああ!!(レイきゅううううううん!)」
「ふふ、フェルチア様はかわいらしいですね」
私の今の名前はフェルチア・ハスン。
ちなみに私が生まれ落ちた家は結構裕福らしい。どうやら商家の娘に生まれたらしい。暇だった私は幼いころからひたすら自分を鍛えることにした。
レイきゅん何処。
レイきゅんに会いたい。
レイきゅん!!
としか私は常に考えていないのだが、そういう言葉は当然口には出さなかったけれど、それでも私にとってはレイきゅんが全てだったのだ。
記憶をとどめるためにレイきゅんの絵を自分で描いたりしたものの、レイきゅん本人のような美しさを私は表現できなかった。ああ。悲しい。私に絵を描く才能があればレイきゅんのことを模写出来るのに。
そのレイきゅんのイラストにお母さんとお父さんがちょっとだけ変な顔をした。もしかしたレイきゅんを知っているのだろうか?
もしかしたら此処はファンタジー世界だし、この世界はレイきゅんがいる世界なのだろうか? 生まれなおした世界で愛しいレイきゅんに会えるとしたら……と考えると、「げへへへ」と下種な笑みを浮かべてしまった。
周りに心配された。ちょっと自重する。
私は期待した。私はもしこの世界にレイきゅんがいるのならば、私は神に感謝する!! さっきから神様に感謝したり、神は死んだといったり、情緒不安定だって? そうだよ!! 私はレイきゅんが関わると幾らでも単純になれるんだよ!!
この世界にレイきゅんがいるのではないか――という淡い期待は、私が十歳の時にポキッとおられた。
「なんですってえええええええええ!!」
そして私、フェルチア・ハスンは激怒した。
愛してやまないキャラクターがいた。
私は、とある乙女ゲームにはまり込んでいた。剣と魔法の世界。バッドエンドもハッピーエンドも同じぐらいの割合で起こった中々難しかった乙女ゲーム。
私はその『聖女と騎士~愛の力で世界を救え~』にはまり込んでいた。
元々RPGは好きだった私は、そのRPG的なやりこみ要素にも惹かれていた。ヒロインである聖女のステータスをあげなければバッドエンドで、中々恋愛要素までたどり着けなかったりした。……私は乙女ゲームを本来やらない方だったので、正直言って一回目失敗した時にもういいかと思ったのだ。
そもそもこっぱずかしい台詞を言われてもむずがゆいだけで、そこまで心惹かれないものだったから。
だけれども、私がやりこんだのは――大好きなキャラクターがいたからである。
私の紛うことなき推し。もはや愛しているとしか言えない存在。
社会人になっていて、自分のお金を存分に使えるようになっていて良かったと心から思ったのは、思う存分推しのためにお金をつぎ込めたからである。私は自分でもこんなにはまるかってぐらいはまりこみ、グッズを大量に購入していた。
「えへへ……レイきゅん」
そしてレイきゅんなんて呼び方をするぐらいにはデレデレになっていた。
私の推し、レイガーダ・ディロスは剣と魔法の世界では珍しい黒髪を持つ、影のある少年である。幼いころから迫害され、傷つき、そして強大な闇魔法の力を持つ。とても努力家で、褒められることに慣れていなくて、うわあああ可愛いって一人悶えていた。
このレイきゅん、悲しいことに闇落ちエンドや死亡エンドも結構ある攻略対象である。攻略は結構難しい。ちょっと選択肢をミスするとレイきゅんはすぐに闇落ちして敵側に行くのである。
このゲーム、聖女の選択肢次第で世界が滅ぶルートもある。下手したらヒロイン死亡のルートも。でも比較的攻略が簡単な攻略対象もいた。
「はぁああ、レイきゅん、かわわ」
私はレイきゅんの情報やスチルを余すことなく確認するために全てのルートを全制覇した。他の攻略対象のルートに入ったからこそ分かるレイきゅんの新たな一面。ああ、なんて素晴らしき事か。
神様、私をレイきゅんに会わせてくれてありがとうございます。あの日あの時このゲームに興味を持つことがなければ私はレイきゅんに出会うことが出来なかったのです!! と私は最近いつも神様に感謝していた。
さて、何故そんな過去形なのかといえば、私はトラックにはねられて異世界に転生を果たしたのである。
現在赤ちゃん。
トラックに轢かれて異世界転生とか、テンプレかよと思いながら赤ちゃん生活を満喫している。いや、RPGは大好きだよ。大好きなんだよ!! 剣と魔法とかワクワクするよ。レイきゅんに出会う前だったら私は喜んでこの世界を満喫したとも!!
でもね、レイきゅんがいないの!!
前世ではゲームを開けばいつでも見れた麗しい愛しいレイきゅんの姿が見えないの!! なんで私の秘蔵コレクションだったレイきゅん抱き枕とか、クリアファイルとかがここにはないの? レイきゅんの姿を見ることが出来ないなんて神は死んだ……!! と私は絶望していた。
「おぎゃあああああああ!!(レイきゅううううううん!)」
「ふふ、フェルチア様はかわいらしいですね」
私の今の名前はフェルチア・ハスン。
ちなみに私が生まれ落ちた家は結構裕福らしい。どうやら商家の娘に生まれたらしい。暇だった私は幼いころからひたすら自分を鍛えることにした。
レイきゅん何処。
レイきゅんに会いたい。
レイきゅん!!
としか私は常に考えていないのだが、そういう言葉は当然口には出さなかったけれど、それでも私にとってはレイきゅんが全てだったのだ。
記憶をとどめるためにレイきゅんの絵を自分で描いたりしたものの、レイきゅん本人のような美しさを私は表現できなかった。ああ。悲しい。私に絵を描く才能があればレイきゅんのことを模写出来るのに。
そのレイきゅんのイラストにお母さんとお父さんがちょっとだけ変な顔をした。もしかしたレイきゅんを知っているのだろうか?
もしかしたら此処はファンタジー世界だし、この世界はレイきゅんがいる世界なのだろうか? 生まれなおした世界で愛しいレイきゅんに会えるとしたら……と考えると、「げへへへ」と下種な笑みを浮かべてしまった。
周りに心配された。ちょっと自重する。
私は期待した。私はもしこの世界にレイきゅんがいるのならば、私は神に感謝する!! さっきから神様に感謝したり、神は死んだといったり、情緒不安定だって? そうだよ!! 私はレイきゅんが関わると幾らでも単純になれるんだよ!!
この世界にレイきゅんがいるのではないか――という淡い期待は、私が十歳の時にポキッとおられた。
「なんですってえええええええええ!!」
そして私、フェルチア・ハスンは激怒した。