時空とか次元如きが私とレイきゅんの邪魔をしようなど……笑止!!
「わぁああ」




 私は目を開く。





 そこには今まで私が見た事がなかった世界が広がっていた。




 ――それに私の身体も小さく戻っている。六歳ぐらいだろうか? レイきゅんと同じ時代にレイきゅんと同じ年代に来るように魔法術式を組んでいたはずだから、ここにレイきゅんが生きているはず。




 あああああああぁあああ、生身のレイきゅんに出会えると思うと、私の心臓はバックンバックンしている。ああ、レイきゅん、愛している!! 愛しいレイきゅんに出会えるかもしれないと思うと私は嬉しくて仕方がなかった。




 小さな体になった結果、服が合わなくなったので《アイテムボックス》から服を取り出して身にまとう。それにしても二百年後の世界とこの世界って結構魔法技術違うはずなのよね。



 確か聖女が魔王を倒してからこの世界は平和になったとかだったっけ。でもその犠牲となったのがレイきゅんだっていうのが許せない。いや、ヒロインのことは前世から嫌いだったわけではないのよ? それでも愛おしいレイきゅんを闇落ちさせたっていうのがね……。
 確か『聖女と騎士~愛の力で世界を救え~』だと聖女の行動次第でレイきゅんは闇落ちしないんだよね。昔から珍しい黒髪と、その闇魔法の適性から迫害されていたレイきゅんはヒロインんに出会うことで心穏やかになっていく。




 ああ、レイきゅん、私はレイきゅんを迫害するような存在は全部排除してレイきゅんのことを幸せにする。
 そんなわけで私はレイきゅんを探して歩き始めた。




 そもそもレイきゅんのいる場所に近い場所に私はやってきたはずなのよね。だから近くにレイきゅんがいるはず。



 私は魔力をたどる。




 レイきゅんの魔力は二百年後に残っていたレイきゅんの遺物から覚える事が出来た。死してなおあれだけ素敵な魔力だなんてっ、生きているレイきゅんの魔力はどれだけ心地よいのだろうか。愛おしいレイきゅんの側でレイきゅんの魔力を感じられたら――と考えただけでもう大興奮である。





 はっ、レイきゅんの魔力を感じられた。それにしてもちょっと弱弱しい。それに私の大好きなレイきゅんが人に囲まれている!?
 まさか、私のレイきゅんに何かをしている人がいるということだろうか? 許せない!!




 私は駆けだした。




 そして――そこに私は推しの姿を見た。
 美しい黒髪。そして綺麗な黄色の瞳。まだ幼い私の推し――レイガーダ・ディロス。ああ、レイきゅん、レイきゅううううん!! 私の心はレイきゅんを一目見た瞬間、また恋に落ちた。



「貴方達! 何をしているの!!」



 私はその場に姿を現した。


 だってレイきゅんが村の子供たちにいじめられているのよ!! そんなの許せるわけないじゃない。というか、私のレイきゅんに何をしているのよ!!





「あ? なんだ、お前?」
「貴方達こそ、レイきゅんに何をしているのよ!! 私が許さないわよ!!」
「なんだ、お前、この悪魔の知り合いか? お前もいじめられたいのか?」



 レイきゅんと名を口にしたらレイきゅんが驚いたように目をぱちくりさせた。ああ、可愛い。可愛い。どうしようもないほど、可愛い。
 そうよね、確かレイきゅんって村で迫害されて村を出るのよね。今ってそのあたりかしら?
 それにしても私のレイきゅんに手を出すなんて許せないわ。




「ねぇ、どこかいってくれない?」



 私の言葉に小さな男の子たちは激高する。私はそんな彼らに魔法を使った。殺しはしない。だけどレイきゅんを虐めることは許せない。
 私の魔法が、彼らの足元を掬う。
 そして倒れふす男たち。私はその子たちを見下ろす。





「ひっ」



 私の視線があまりにも冷たかったからか、そんな風に怯えられた。ひどくない? 私、今、ただの小さな女の子なんだけど?




「ねぇ、レイきゅんに手を出すのやめてね? やるなら私、貴方達殺すわよ? いい? だからさってね?」




 耳元で囁けば、男の子たちは去っていった。



 さて……と私はレイきゅんに視線を向ける。けられたりしていたのだろうか、土で髪などが汚れている。ああ、レイきゅん、大好き。可愛い。愛おしい。



「ねぇ」



 ……でも声をかけたら怯えられるのは予想外かな!!
 私はレイきゅんに怯えられてショックであった。



「……き、君は誰?」



 ああ、でも怯えているレイきゅんもなんて可愛いのだろうか。なんて愛おしいのだろうか。私はレイきゅんが愛おしくてたまらなかった。
 じゅるりと思わず涎をたらしそうになる。



「私はフェルチア。貴方を幸せにしにきたの!!」



 そう発言をした私にレイきゅんは明らかに引いた表情を浮かべた。



 何故に!? とショックを受けたが、私はいかにレイきゅんの傍にいたくて、どれだけレイきゅんのことを幸せにしたいのかをレイきゅんに語った。



「あのね、レイきゅん、私はレイきゅんのことが本当に大好きなの。貴方が幸せにならない未来なんて私は許せないの。だからこそ、私は此処に来たの。レイきゅんは――」
「……そのレイきゅんって呼び名どうにかしない?」
「じゃあ、レイって呼んでいいの!?」
「……ああ」
「じゃあレイって呼ぶわ!!」



 まぁ、心の中ではレイきゅん呼びしてしまうかもしれないけれど、私がレイきゅんのことをレイと呼べるなんて何だか嬉しい!! と私は嬉しくなるのである。



「じゃあ、レイきゅん、明日も来るね!」
「……君、何処で寝る気? この辺で見た事ないけど」
「その辺の森!」
「じゃあ、僕の家にきなよ」
「いいの!?」



 思わずそう問いかけてしまった。
 そうすればレイきゅんが言う。



「……君は訳が分からないし、闇の精霊も若干怯えているけど、敵ではないらしいからいい。それに……僕の事、好きって言ってくれる人は珍しいし嬉しいから」




 照れながらそう言われて、私は思わずボタボタと鼻血を出してしまった。
 それでレイきゅんが引いた表情だったけれど、いやもう、私の推しが可愛い!!

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