奥手な二人の両片思い
「……じゃあ! 行きたいところ、せーので言おうか! 同じかもしれないし!」

「わ、わかった……」



ドキドキしているのがバレないよう、慌てて口を開いた。

行きたい場所はあるけれど、正直なところ、2人でゆっくり話せる場所ならどこでもいい。

しかし、あまり気を遣わせるのも悪いので、希望を伝えることに。



「じゃあいくよ? せーの……」

「ショッピングモール!」
「動物園……」



……見事に外れた。



「……ショッピングモールにする?」

「いやっ……それなら、どっちも行こうよ!」



彼女の意見を優先したいがために、とんでもないことを口走ってしまった。



「ど、どっちも……⁉」



何言ってんだ俺!
綿原さん困惑してるじゃねぇかぁぁ!

どっちもって欲張りすぎだろ……!



「ごめん! 勝手なこと言って……」

「ううん! 上川くんがいいなら……どっちも行きたいな」



むちゃな提案にも関わらず、笑顔で了承してくれた。



「……ありがとう。難しそうなら無理しなくていいからね?」

「ううん、大丈夫! 楽しみにしてるね!」



相変わらず優しいなぁ。

今年の春休みは、人生で一番楽しい春休みになりそう。
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