奥手な二人の両片思い
毎回隕石を作るもんだから、『もう1人で作るのはやめてね』って、お母さんからやんわり指摘されちゃって。

それ以来、私は1人でキッチンに立つのをやめた。



「今の話、本当?」

「あ……うん」

「隕石なんて、よっぽどのことがない限り作れないよ……?」



話を聞いた塩野くんがやってきた。

苦笑いしながら夏穂ちゃんと顔を合わせている。



「そんなに驚く?」

「菫ちゃん、お菓子作り得意そうな見た目だから意外すぎて……」

「うん。デコレーションとかこだわってそうに見える」



デコレーションって、チョコペンで文字を書いたりするやつだよね?

やったことないよ……。

だんだん恥ずかしくなってきたので俯く。



「で、でもさ! ギャップがあるってことで、キュンキュンしない?」



黙り込んだ私を見て、夏穂ちゃんは慌ててフォロー。

一方塩野くんは。



「『実は隕石作るんだよ』ってギャップ? キュンキュンどころか、ドン引きしない?」



彼女のフォローに冷静な返答。

ドン引き……⁉



「酷い塩野くん! ドン引きしたの⁉」

「あっ……ごめん!」



もう! 好きでこの顔に生まれたわけじゃないのに……!
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