奥手な二人の両片思い
「怜也くん? どうした?」

「えっ⁉ いや……何でもないよ?」



声が裏返りつつも、平然を装う。
しかし……。



「……もしかして、菫からの愛の告白にドキドキしてるの?」



こっ、告白⁉



「告白って……綿原さんに限ってそんなこと……」

「まぁ、『可愛いかったから買った』って言われたし、隼にも渡してたから、多分深い意味はないかもね」



なんだ、隼ももらったのか。
1人でドキドキしてバカだな俺。


……じゃあ、さっき照れてたのはなんでだろう。

寒くて足元震えてたのに、マフラーまで緩めて暑がるふりしてたし。

『アメもらったの初めて』って言ったからか?



「そうだ、怜也くんはアメの意味知ってる?」

「意味?」

「うん。贈るお菓子にそれぞれ意味があるらしいよ」



へぇ。確かクッキーは、あなたとは友達って聞いたことがあるな。

アメは聞いたことがないかも。



「アメの意味は知らないな。何?」

「『あなたが好き』って意味だよ」



……へ? あなたが好き……⁉



「それ本当⁉」

「調べたら出てきたから……」



ガタンと音を立てて立ち上がった。

一気に顔が熱くなる。


わ、綿原さんが俺を好き……⁉

いやいや! 早まるな!

文字に気づいてなさそうだったから、きっと意味も知らなかったはずだ!
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