奥手な二人の両片思い




「清花がそんなことを……」

「うん。すげー説得力あって、グサッて突き刺さった」



昼休みになり、隼のクラスにお邪魔。
教室で彼に今朝の出来事を話した。



「隼もやっぱりそう思う?」

「……うん」



恐る恐る尋ねると、隼も清花ちゃんと同じ顔で返事をした。


実はこの2人、中学時代に大切な友達を亡くしている。

当時、周りに心配されたくないがために、学校や家族の前では普段通りに振る舞っていた。

しかし、夜になると、自分の部屋で布団を被って、声を殺して泣いていたらしい。


思い出させるのも苦しいだろうから、詳しく聞いたことはないけど、その友達が亡くなった後も、色々あって大変だったのだそう。



「一緒にいるのが当たり前って思ってたから。清花も俺も、葬式の日が来るまで信じられなかった」



切ない顔で笑った隼を見つめる。
その友達はというと……。



「水沢くんは……どんな様子だった?」

「俺らに気を遣って、あまり話しかけてこなくなったよ。だから、俺らのほうから話しかけるようにしてた」



その亡くなった友達は──モルくんこと、水沢くんのお姉さんだったのだ。
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