奥手な二人の両片思い
電車に乗って外を眺め、2人にもらった言葉を思い出す。



『大切な友達ならなおさら……伝えないで後悔してほしくないの』

『……怜也には、俺みたいに後悔してほしくないんだよ』



大切な人の死を経験した2人だからこそ、俺には後悔してほしくないんだろう。


隣でスマホをいじっている彼女をチラッと見る。


今は当たり前のように隣にいるけれど、卒業したら、こうやって毎日顔を合わせて一緒に登下校することも、勉強することもなくなる。


進学と同時に引っ越して、なかなか一緒に遊べなくなるかもしれない。

まだ卒業まで1年残ってるけど、1年なんてあっという間だしな……。

……決めた。



「綿原さん」

「ん? 何?」



無邪気な笑顔で返事をした彼女と目を合わせる。



「テストが終わったら話したいことがあるんだけど……時間ある?」

「うん! 大丈夫だよ!」

「ありがとう。また連絡するね」



テストが終わったら告白しよう。

大切な友達だからこそ、自分の気持ちを伝えなきゃ。
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