奥手な二人の両片思い
「あの……」
「透瑠くん⁉」
モルくんが口を開きかけたタイミングで、登校してきた清花が現れた。
「はじめまして! 1年の山吹です!」
「こちらこそ! 2年の綿原です!」
彼女と一緒にやってきた彼に挨拶した。モルくんの友達らしい。
「どうしたの? 2人で話してるなんて珍しいね」
目を丸くしている清花。
確かに。
バレンタインの意見を聞いた時に2人で話してはいるけど、その時清花はいなかったもんね。
「あぁ、モルくんがね……って! ちょっとどこ行くの⁉ まだ話聞いてないよ⁉」
説明しようとすると、急にモルくんがその場を立ち去ろうとした。
「漢字テストの勉強するので。もう大丈夫ですから。ありがとうございました」
「すみません、僕も先に行きますね」
肩を掴んで引き止めたものの、振り払われてしまい。
山吹くんも慌てて彼の後を追っていった。
モルくん、一体どうしちゃったの……?
「何かあったの……?」
「清花のことで相談があるって……」
不安そうに尋ねてきた清花に答えると、急に彼女の顔が青ざめ出した。