奥手な二人の両片思い
「何て言ってた……?」

「話聞こうとしたら、清花達来ちゃったから何も……」



さっきから2人とも様子がおかしい。
もしかして……。



「モルくんとケンカでもしたの……?」

「……自業自得だ」

「えっ?」

「私、透瑠くんに酷いことしちゃったの……」



半泣き状態になっている彼女を支えながら、教室まで送り届ける。


話を聞くと、実は先週の金曜日、海先生にお菓子を渡したそうで。

その光景をモルくんに見られ、先生が好きだと勘違いされてしまったとのこと。


中庭でモルくんが山吹くんに相談しているのを、上川くんが見かけて教えてくれたんだって。

だから先週、ちょっと暗い顔してたんだ……。



「ありがとう」

「ううん。大丈夫……?」

「大丈夫。あとで謝りに行くから」



「じゃあね」と弱々しい声で小さく手を振って教室に入っていった清花。


お菓子1つでこんなに関係が一変するなんて。

そういや私も、【I love You】って書かれたアメ渡しちゃったもんな。


上川くんのことは好きだけど、私のことは友達って言ってたし……。

優しいから言わないだけで、内心戸惑っていたらどうしよう。
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