奥手な二人の両片思い
放課後。
上川くんに、今朝と昼休みの出来事も含めて、清花とモルくんがギクシャクしていることを伝えた。



「うわぁ、それ完全に俺のせいだ……」



両手で頭を抱えた上川くん。

改めて話を聞き、それで先週頭を悩ませていたのだそう。



「そんなに自分を責めないで? 清花はその後どんな様子だった……?」

「申し訳なくて、まともに顔合わせられなかったからわかんないや」



そんな……清花を怒らせたら、この世の終わりかってくらいめちゃくちゃ怖いのに……!



「どうしよう……」

「大丈夫! 帰り際にもう1度謝ったら笑って許してくれたから!」



そうは言っても、上川くんは事実を伝えたのに対し、私は嘘をついた。

同じように許してもらえるかはわからないよね……。







「もしもし……」

「もしもし菫? どうしたの?」

「……今日は嘘ついてごめんね」



その夜、彼女に謝罪した。

直接謝ろうとも思ったけど、どうしても気になって。
明日まで待てずに電話をかけた。



「いいよ。口止めされてたんでしょ?」

「……やっぱりバレてたんだ」

「そりゃ、あんなに顔引きつってたんならわかるよ」



笑い声が聞こえ、胸を撫で下ろす。
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