奥手な二人の両片思い
「……来たぞ!」
黒瀬くんの合図で声を抑える。
そーっと中を覗くと、モルくんと海先生が会話している。
何話してるかは聞こえないけど……あの閉まってるカーテンの中に清花がいるのはわかった。
「ロシアンブルー⁉」
モルくんの大声が聞こえると、カーテンが開いて清花が出てきた。
「ヤベェ……またムズムズしてきた」
「はぁ⁉ 今いいところなんだから我慢しろ!」
「あぁ~、出そう……」
「ちょっ、口抑えろ!」
小声で言い争う2人。
上川くんには悪いけど、今ここで大声を出すわけにはいかない。
もう少しだけ頑張って〜〜。
窓に視線を移すと、いつの間にか海先生はいなくなっていて、モルくんが清花に抱きついていた。
「ちょっと! とうとうきたよ!」
「わ、綿原さ……そんなに叩かないで……」
「ごめん!」
二人の肩を叩いて知らせると。
「あの……キスしていいですか?」
キ、キ、キス……⁉
モルくん……なんて大胆な……!
「おいマジかよ……」
「ミズサワクン、セッキョクテキダネェ」
口を開けて驚いている黒瀬くんと、くしゃみを我慢してカタコトになっている上川くん。
盛り上がってきた~!