奥手な二人の両片思い
「好きです」
……えっ? 今、好きって聞こえたんだけど……。
「いきなりごめんね! 俺……中学で同じクラスになった時から、ずっと綿原さんのことが好きだったんだ」
「嘘……」
待って待って……?
中学って、同じクラスって……4年以上も前から⁉
「でも、私のこと、友達って……」
「あの時はまだ告白する勇気がなかっただけで……好きじゃなかったら彼氏のふりなんてしないよ」
夢、じゃないよね?
上川くんが私を好きって……本当に夢じゃないよね⁉
あまりの嬉しさに涙が頬を伝った。
「ごめん……! その……気持ちを伝えたかっただけで……返事はいらないから!」
焦った様子でバッグからハンカチを取り出し、ポロポロ流れる涙を拭っている。
違う、嫌で泣いてるんじゃない。
嬉しくて泣いてるんだよ。
だって私もずっと好きだったから。
お調子者だけど、真面目で努力家なところとか。
人気者だけど、みんなに分け隔てなく接しているところとか。
そしてなにより──自分の評価が落ちる恐れもあったはずなのに、傍にいてくれたこと。
意識し出したのは助けてもらってからだけど、その前から人としても好きだった。
「ち、違うの! 私も……私も好きだから!」