奥手な二人の両片思い
昼食を終えて、服屋さんに入った。


今日は「お互いの似合う服を選び合う」という、初デートにしては難易度が高い内容。

怜也くんはオシャレだからいいとして。

私はオシャレなんて全然わかんないから、喜んでもらえるかが心配だ。



「怜也くんは何が欲しい? Tシャツとかパンツとか……」

「んー、シャツが欲しいな」



欲しい物のジャンルを聞き、なるべく失敗率を下げる。

シャツも色んな種類があるよね……。

柄物か無地か。
首までボタンがある物や鎖骨が見えるくらい開いている物。


うーん、上川くんならどのタイプも似合いそうだから難しい。



「菫ちゃんは?」

「私は……」



ニコニコ顔で尋ねてきた怜也くんに重い口を開く。


特に何が欲しいかはない。

ただ……女の子らしい可愛い服がずっと着たかった。

骨格を隠すために、パーカーとかデニムばかり着ていたけれど……やっぱり、1度は女の子らしい服が着てみたい。

そう伝えた。
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