奥手な二人の両片思い
20分後。
服をかごに入れて、試着室の近くに集合した。


ドキドキして汗かいてきた。


サイズは事前に聞いているので、よっぽど特殊な服でない限り、失敗することはない。

だけど、いつもと違うタイプのを選んじゃったから、気に入ってくれるかがなぁ。



「じゃあ、菫ちゃんからどうぞ」

「えっ! 私⁉」

「レディファーストってことで」



えええーー! そんなぁ、自信ないよ……。
でも、どっちにしろ、出さなきゃいけないよね。



「私が選んだのは……葉っぱ柄のシャツです」



恐る恐る、かごからシャツを取り出した。

好みじゃなかったらどうしよう。
サイズ大丈夫だったかな。ちゃんと確認したよね?



「可愛い~! 最近柄物気になってたんだよ〜! ありがとう!」



「早速着てくるね~」と満面の笑みで試着室へ。

良かった……! 喜んでもらえた……!

胸を撫で下ろしていると、すぐカーテンが開いた。



「どう?」



うわぁ……!

試着室から出てきた彼は、まるでモデルさんのようにバッチリと着こなしていた。
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