奥手な二人の両片思い
「こっちこっち!」
連れてこられたのは猛獣エリア。その中の……。
「ユキヒョウ……?」
「そう! かっこいいでしょ?」
檻の中の日陰で休んでいるユキヒョウを眺める。
ちなみに、他の猛獣達は日なたでだら~んとお昼寝中。
おいおい、野生の本能はどこにいったんだ……。
「フサフサしてる~」
「今の季節だと少し暑そうだね」
待てよ? 俺に似てるんだよな?
もしかして、これって間接的に「毛深い」って言ってる……⁉
袖をめくって腕毛を確認する。
「座っててわかりにくいけど、綺麗な模様してて、歩き方が優雅なの」
「へぇ~」
単にユキヒョウを褒めているのか、間接的に俺を褒めているのかがわからない。
太陽が雲に隠れ、陽射しが弱まると、ユキヒョウが柵のほうに近づいてきた。
おお……美しい……。
「わ~! かっこいい~!」
笑顔で口を開いた彼女に顔を向ける。
今のはユキヒョウにだけ?
それとも、俺への褒め言葉も含まれてるの?
どっち⁉